2023年、不確実な時代は続くが新たな兆しも
現在は、ポストCOVID-19と言われますが、いまだに新型コロナウイルスの影響は強く残り、また、昨年からのロシアのウクライナ侵攻は終わらず、原材料の高騰や半導体不足、サプライチェーンの混乱が続くなど、不確実な時代であることは確かです。自然災害の急増や世界人口の増加によって、サステナビリティは待ったなしで、ESGなどの新しい非財務会計の基準が制定されようとしており、ITを含む企業はすぐに行動を起こす必要に迫られています。そして、国内のIT業界に目を向けますと、IT技術者不足の中、デジタル化の遅れや、SAP ECC 6.0のサポート切れによる「SAP 2027年問題」が、業界にインパクトを与えています。技術的には、以前紹介しました注目テクノロジーのABC(AI、バイオテクノロジー、暗号化・クリプト)の中でも、AI・機械学習の進歩が著しく、私たちのビジネスや生活に確実に浸透して、大きな影響を与えています。もはや当たり前になるトレンドとしては、Cloud First、Industry 4.0に向けてのIoTの利用があります。
私の予測の前に、世界のテクノロジーのトレンドを紹介したいと思います。少し前の2022年の8月にマッキンゼー社がレポート「McKinsey Technology Trends Outlook 2022」を出して、現在の14のテクノロジートレンドをレポートしています。このレポートで、われわれIT業界に関連する9つを簡単に紹介します。
- 応用AI:機械学習の応用。分類、予測、コントロールの問題を解決して、自動化や機能の追加・補足、意思決定を強化
- 先進のコネクティビティ:5G/6Gだけでなく、無線小電力ネットワーク、衛星通信などの技術
- Web3:分散化・ブロックチェーン・トークンベース経済を取り入れた次世代の分散型インターネットプラットフォーム
- 機械学習の産業化:ここでいう産業化とは機械学習やAIを、実ビジネスで利用するためのワークフローのプロセスを構築すること
- イマーシブリアリティ技術:複合現実感(Mixed Reality)や拡張現実感(Augmented Reality)、仮想現実感(Virtual Reality)など、Web3に不可欠になる技術
- クラウド・エッジコンピューティング:エッジにコンピューティングのワークロードをオフロードして、自律的に処理する技術
- トラストアーキテクチャーとデジタルアイデンティティ:デジタル対応の製品やサービスのためのデジタル・トラスト技術
- 量子テクノロジー:量子コンピュータに代表される、特定の問題に対する計算性能を向上させる量子ベースの技術
- 次世代ソフトウェア開発:AIを使用した開発およびテスト、ローコードまたはノーコードプラットフォーム
調査会社のITR社が発表した「IT投資動向調査2023」では、新規導入可能性の製品・サービスにおいても、2位がAI/機械学習プラットフォーム、3位 5G(パブリック)、4位 IoT、9位 ローカル5G、10位 エッジコンピューティングとなっており、上記のテクノロジートレンドと同じ傾向であることがわかります。