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加藤恭子のエンタープライズIT業界の歩き方

コロナ禍の隙間時間こそ、ビジネスSNSを使いこなそう(後編) LinkedIn活用のポイント

連載第2回

 IT関連のメディア記者を経験し、エンタープライズIT系のベンダーを経て、PR会社ビーコミ社長としてB2B系の企業広報を手掛ける加藤恭子が、これまでのキャリアや人間関係を通じてのエンタープライズIT業界の転職や起業についての話題を紹介する連載の第2回。今回は「LinkedIn」など経歴データベースの活用のポイントについて。

 初回はLinkedInを活用し、自分の経歴をデータベース化することについて触れました。私の観測範囲ですが、エンタープライズIT業界の友人や知人の多くが利用、頻繁な閲覧や更新は不要、ご自身の経歴を入れておくことで検索してもらい、所属企業のビジネスの拡大や、自分自身の人脈の拡大や転職などに効果を上げています。

 ただし、利用にあたっては少しコツがあります。今回はその使い方のポイントについて触れておきましょう。

アドレス帳からのうっかりメールに注意、説明をよく読む

 まずは、当たり前ではありますが、説明をよく読むことです。LinkedInを一度使ったけどやめた、苦手であるという人の多くが「自分の電子メールのアドレス帳に登録してある友人に、意図せずに何度も“LinkedInに登録しませんか?”という趣旨のメールが送られてしまい、心配になって利用をやめた」と答えています。今は日本語で利用できるようになりましたし、わかりづらかった仕組み自体もかなり改善されていますのでこのようなことにはならないはずです。とはいえ、LinkedInに限らずネットワーク外部性(電話やLINEなどのように、同じサービスを利用する人が増えれば増えるほど、そのサービスの価値が上がるモノやコト)が肝となるサービスでは、登録者を増やすための色々な仕掛けがあることも事実です。利用時には次々にボタンを押して電子メールのアドレス帳を読み込ませたりせず、どの操作をしたらどうなるのか、仕組みを調べる習慣をつけたいものです。

接点がない人からのいきなりメッセージに注意

 リクエストがあっても、接点のない人とはいきなり友達として繋がらないようにしましょう。これもLinkedInに限らず、他のソーシャルメディアに言えることですが、有名人の偽物や、「あれ俺詐欺」(プロフィール詐称。自分がやっていないことを“あれ、俺がやった”と書いている人)などもいます。そのような人と繋がると「あれ? あの怪しい人と繋がっている。この人も怪しいのでは?」と思われてしまう危険があります。その人があなたの友人であると偽って、あなたの本当の友人に接近するかもしれません。見せかけのつながり数を誇るものではないので、友達リクエストが来たら知っている人かどうか、繋がっても問題がないかどうかをまず確認しましょう。なお「国際ロマンス詐欺」(魅力的なプロフィールで相手を騙し、恋人や結婚相手になったかのように振る舞い、金銭を送金させる)も問題になっています。容姿の整った異性の軍人、医者などからのメッセージにも注意し、送られてきても対応しないようにしましょう。それらはほぼ100%偽物です。

知人のプロフィールを参考にし、2つのポイントを押さえる

 知人のプロフィールを参考にしつ、2つのポイントを押さえましょう。2つのポイントとは、以下の2点です。

  • LinkedIn内でのSEO対策を実施(自分が見つけてもらいたいと思う相手が検索した時に上位にくる)
  • 何のプロフェッショナルかがわかり、信頼の置けることが推測できるプロフィール(投稿)にする

 知り合いなどのプロフィールページを複数閲覧して傾向を掴むのが良いでしょう。無料版は閲覧履歴(足跡)が付きますので頻繁な閲覧はご注意ください。

検索条件を考慮する

 誰か良い人はいないだろうかと思って検索・閲覧する人は、いくつかのキーワードと設定を組み合わせて探します。例えば「Public Relations」「IT industry」「Marketing manager」などです。これに加えて、転職シグナル(転職希望者はオンにします)、居住地など、複数キーワードと設定を組み合わせて検索するのです。よって「相手はどんなキーワード・設定で検索するだろうか」を考えて、それらの言葉をプロフィール内に入れるようにしましょう。

 私の場合、転職希望ではなく、「外資系企業が日本に進出する際に検索してもらうことで、見込み客の創出」につなげたいと思っています。よって、PRや日本、東京、外資系ITなどのキーワードや設定で検索してもらった後に、外資系エンタープライズIT企業の広報支援で実績があり、頼んでも安心だということをアピールする必要があります。そのため、エンタープライズIT企業で働いていた時の上司、同僚、そして独立してからのクライアントと繋がるようにしました。そうすれば「この人は自分の業界のことを知っているな」とわかってもらえます。

元上司、元同僚に協力してもらう

 続いて、信頼感を上げるために、エンタープライズIT企業で働いていた時の上司、同僚、クライアントから推薦文を書いてもらいました。推薦文があることで「この人は実績も上げていて信頼できそうだ」と思ってもらえます。ある外国人の上司からは「自分が書いて欲しい推薦文の例文を作って、それを相手に承認してもらいなさい。相手も一から書かなくていいので楽だから、推薦文をもらいやすくなるよ」と言われました。それ以来「こんな感じで書いて欲しい」と文面を提示するようにしました。ちなみに「推薦文が最低でも3件に満たない人はクライアントに紹介しない」としている人材紹介業の方もいます。またLinkedIn内の企業の公開求人ページでも「最低でも3件の推薦文」と書いてあるものもあります。また私が仕事を請ける際にも「最低3人の推薦文をもらってほしい」と言われることが多いです。そんなわけでまずは「3本の推薦文」を目標にしてお願いするといいでしょう。この推薦文はとても効果的で「あの推薦文があったからこそ連絡をした」となんども言われたことがあります。

 さらに、プロフェッショナルな感じにしたり、信頼してもらうために、プロフィール写真も有効です。あくまでもビジネスのつながりのためのデータベースなのでTwitterやFacebookで利用しているユニークな写真やくだけた雰囲気の写真はあまり適しません。「仕事ができそう」な感じを与えるため、スーツが無難です。せっかくなのでプロのフォトグラファーに撮ってもらいました。メイクもしてもらったのですが、少し実物と乖離してますでしょうか? 少しやりすぎたかもしれません(笑)。友人のプロフィールで「この写真はいいな」と思うものがあればその人にどこで撮ったか聞いてみたり、ネットで「宣材写真」などで検索すると人物の撮影が得意なフォトグラファーにたどり着くと思います。その時に重要なのは同性で同年代もしくは少し上の年齢の人をキレイに写せているかがポイントです。写真に写り慣れているモデルさんをキレイに撮れても、一般人をキレイに撮れるとは限りません。

 これらをやって、適宜情報更新を行うと、業界内での様々な問い合わせが増えると思います。さらには、興味のある企業・人をフォローしたり検索することで自分からも接点を持つこともできます。

眺めていると業界が見える

 LinkedInを使っていて思うのは、エンタープライズIT業界は本当に「繋がっているな」ということです。例えば、A社とB社でそれぞれ一緒に働いていた元同僚同士がC社というところで一緒に働いていたり、D社を辞めた元お客さんがその競合に入社したり、一時期は友人の多くがアドテク、マーテクベンダーに大移動したなと思ったら今度はRPAに大移動したり・・・。業界の縮図、盛者必衰を感じ取れる場でもあります。

 前回、今回共にLinkedInの話が中心でしたが、次回はエンタープライズIT業界とは切っても切れない英語について、私の苦労話と克服法、業界の特徴などを書く予定です。

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この記事の著者

加藤 恭子(カトウ キョウコ)

IT記者を経て、ナスダック上場IT企業のマーケティング・PRマネジャーを歴任。 現在は、その経験を活かし、マーケティング・広報のコンサルティングを行う株式会社ビーコミの代表として活動。日本PR協会認定PRプランナー

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