オートノミック機能により低コストを実現
「データベース・システム運用にかかわる課題は4つある。第一に運用管理コストの増大。第二に無尽蔵に増えるデータとハードディスク容量。第三にソフトウェア保守費用の負担増。第四に適用業務やインフラ変更にかかわる費用とスキル。DB2 9.7はこれら4つの課題を解決する」
インフォメーション・マネジメント事業部長下垣典弘氏は、発表会の冒頭で現在の企業が抱えている課題を挙げ、DB2 9.7がもつ4つの技術的特長の解説を始めた。
低コストと使いやすさへ注力した新バージョン
IBM DB2はこれまでも『1.低コスト』『2.信頼性』『3.使いやすさ』『4.先進性』という4つの技術的な特長を有してきたが、これらの技術的特長の中でも、今回の新製品発表会で強調していたのが、「1.低コスト」と「3.使いやすさ」の機能強化である。
その背景にあるのが、IT予算の7割が運用管理コストに費やされていること。さらに現在のように厳しい経済環境下では、運用管理コストの低減を図ることに、企業は注力しているからだ。それに答えるのが、DB2 9.7が新たに実装した低コストを実現する機能である。
DBAいらずのセルフチューニングメモリー管理機能
「オートミック機能」はその一例だ。「これまでのDBMS(データベース管理システム)製品ではどうしても、DBA(データベース管理者)によるチューニングが不可欠であり、それなりのコストがかかっていた」と中林氏。
しかしDB2ではセルフチューニングメモリー管理機能を搭載しているため、DBAなしでDB2の構成が可能なるという。つまりチューニングはシステムに任せ、情報システム担当者は新しいシステムの提案や技術のチャレンジなど、本来の業務に集中できるというわけだ。またこの機能があることで、事前のスキル習得やトレーニングがなくてもシステムを稼働させることができるようになるという。
データ爆発時代を乗り越えるための高度な圧縮機能
データ圧縮機能の強化も低コストを支援する。9.7では複数の自動インデックス圧縮アルゴリズムとテンポラリー表の自動圧縮機能などの業界では初となる技術を搭載した。
「米SunTrust社の事例では、83%以上のデータ圧縮率を実現しており、初期投資として200万ドル以上、年間では50万ドルの運用コストが削減できるという予測がなされている」と中林氏はユーザーの声を紹介する。
またパフォーマンス性能もオラクルデータベースやマイクロソフトSQLサーバという他社製品より優位性があるという顧客からの報告があった、と中林氏。
仮想化ニーズの高まりに配慮したライセンス体系
9.7が低コストを可能にするのはこれらの機能強化だけではない。仮想化プラットフォームへの柔軟なライセンス形態の提供もその一つ。現在、VMwareなど仮想環境でのシステム運用をしている企業が増えている。
これまでのサーバごとのライセンス形態では、実情に合わなくなってきているからだ。仮想化プラットフォームへの柔軟なライセンス形態が提供されることにより、それぞれの企業は実情に合わせてライセンスコストが選べるようになる。そのため運用コストの低減が可能になるというわけだ。
7月7日に開催される「DB2 Star Festival 2009」では、他社RDBMSからの移行事例などを含め、「DB2 9.7」に関するさまざまな情報が提供される予定だ。イベントの詳細は特設サイトを参照のこと。