グロースハックの考え方をデジタルサービスに応用
――日本でのプロダクトアナリティクスはまだまだ知る人ぞ知る分野に留まります。Amplitude設立の経緯を創業者のご経歴などを交えながらご紹介いただけますか。
創業は2012年で、「Help Companies Build Better Products(企業がより良いプロダクト開発を行えるよう支援すること)」をミッションに掲げています。MIT出身のSpenser Skates(CEO)とCurtis Liu(CTO)の2人が立ち上げた会社で、彼らはMITが実施しているBattlecodeという学内のプログラミングコンペの優勝を2回も経験しています。2人はシードアクセラレーターとして知られるY Combinatorが提供する養成プログラムに参加し、デジタルプロダクトの改良に焦点を当てて開発した製品がAmplitudeです。
元々、Amplitudeのアイデアは、データを徹底的に活用していることで知られるZyngaというソーシャルゲームの会社のエグゼクティブとの対話からインスピレーションを得たと聞いています。人気ゲームタイトルは、ユーザーにできるだけ長く、できればお金を使ってより楽しんでもらえるよう、リリース後に様々な改良を重ねていきます。この「グロースハック」の考え方をソフトウェア製品やデジタルサービスに応用すると、その使いやすさの向上で継続率を高めることができるわけです。多くのグロース企業へのヒアリングを通して、Amplitudeはどんなデータを分析すればプロダクトを改良できるかを学び、そのノウハウをお客様がすぐに使える14種類のチャートに集約しました。直近の資金調達は2021年6月で、現在はシリーズFの段階ですが、IPOを視野に入れています。
――日本法人設立はいつでしょうか。
私たちのビジネス拠点は、米国、欧州、APACの3地域にあります。日本法人の設立は2021年3月。シンガポールに続くAPAC2つ目の拠点として設置されたばかりです。日本市場への本格的な投資も始まり、製品のローカライズを粛々と進めています。社員数も2021年中に2桁にまで増やす計画で、導入や販売パートナーの募集も始めました。
――どんな企業がAmplitudeを導入していますか。
グローバルでは4万のデジタルプロダクトの裏側でAmplitudeが動いています。スタートアップからFortune 100の大企業まで規模を問わず、様々な業種のお客様が利用中です。テクノロジー企業で言えばCisco SystemsやIBM、SaaS企業ではAtlassianやHubSpotなどがお客様です。中でもIBM様の場合、全社のDX推進から同社のソフトウェア製品のユーザー行動の分析まで幅広く利用してもらっています。この他、Ford Motor CompanyのコネクテッドカーやWalmartのECサイト、音楽や動画などのストリーミングサービス、アパレルのD2C(Direct to Consumer)サービスなど、様々なデジタルサービスを展開中のお客様がAmplitudeを使っています。