適切なソリューションのデザイン
ERPシステム導入を成功するためには、多くの人たちがすでに述べているように「プロジェクトマネージャの力量」が重要です。しかし忘れてはならないポイントとして、「適切なソリューションのデザイン」があります。いかに優秀なプロマネであっても、不適切なソリューション(またはERPの使い方)で始めた場合、最終的に顧客には受け入れられないシステムになってしまいます。現実的には、このような不適切なソリューションデザインから始めたプロジェクトを、プロジェクトマネージャの力量でスケジュール・費用・機能を調整し、「多大な妥協を伴った」上での適切(?)なシステムが構築されているのではないでしょうか。
最初から適切なソリューションを描けていれば、導入プロジェクトでの苦労は半減できます。その適切なソリューションを描くための「導入指南」が、今回の連載でお伝えしている内容です。ERPで全てを賄うのではなく、ERPが不得意とする領域をその他の適切なシステム/ツールを活用して、トータルとして最適化されたシステムの構築を目指しましょう。
ERPの特徴を再確認
それではソリューションのデザインを始める前に、ERPの特徴を再確認しましょう。簡単にいうと、SAPなどのERPシステムは、会計情報を中心とした実績や確定した情報の保管庫として活用を中心に考えましょう。ERPシステムは一旦入力したデータを頻繁に変更する必要がある場合や、大量データ(レコート)の入力や不特定多数の社員による活用には決して適していません。極端な例として、以下のようなことが考えられます。
- 受注管理において、売上を計上できる段階で、ERPにデータを取込み、会計情報(債権管理)へとつなげる。
- 一般購買品の調達依頼から承認及び発注確定までの業務をワークフローツールで行い、発注情報が確定した時点でERPに取込み、入荷処理及び債務管理をERPで行う(場合によっては入荷処理もERP外で行うデザインも可)。
- 製造実績データをERPに取込み、在庫情報及び製造実績原価を導く元データとして活用する。