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Snowflake「Data Drivers Awards」受賞者インタビュー(AD)

直感よりデータを重視 なぜサイバーエージェントのデータドリブン文化にSnowflakeはマッチしたか

Snowflake「DATA DRIVER OF THE YEAR」:サイバーエージェント

 クラウドベースのデータプラットフォームを提供するSnowflakeは、2021年 Data Drivers Awardsの受賞者を発表した。データドリブンの意味を完全に体現している先駆的な企業に与えられる最上位の賞「DATA DRIVER OF THE YEAR」を受賞したのが株式会社サイバーエージェント。同社でのSnowflake活用を推進してきた2名のキーパーソンに、データドリブンな組織風土やデータ活用術について聞いた。

社員自らデータに基づく意思決定をしている

──はじめに黒崎様、鷹雄様の役割をお教えください。

黒崎優太氏(以下、黒崎氏):サイバーエージェントでは、メディア・広告・ゲームと三つの事業を展開しており、私は2015年に入社し広告配信プラットフォームの開発を担当していました。現在は、AI事業部で小売企業のDXをサポートするプロダクトを開発していて、その中でデータ基盤の開発を担当しています。

株式会社サイバーエージェント CTO統括室 兼 AI事業本部 DX本部 エンジニア 黒崎優太氏
株式会社サイバーエージェント CTO統括室 兼 AI事業本部 DX本部 エンジニア 黒崎優太氏

鷹雄健氏(以下、鷹雄氏):私は全社システム本部というサイバーエージェント全体の情報システム部門でデータ統括責任者を務めており、データを収集、活用したい部門をサポートしています。弊社では数千人がデータ分析のためにTableauを使っているのですが、そのためのサーバー運用やSnowflakeでのデータ収集・活用のための基盤を担当しています。

──今回、Snowflakeより、データドリブンビジネスを体現している企業に与えられる最上位の賞「DATA DRIVER OF THE YEAR」を受賞されました。率直な感想や、データ活用の状況をお聞かせください。

黒崎氏:Snowflakeを本格的に使い始めたのが2020年なので、まだ1年経ったばかりです。そのため、最上位の賞を受賞できたことに驚いていますし、やはり嬉しいですね。

鷹雄氏:弊社では、3年ほど前からデータを活用するために蓄積しています。しかし、データが色々なところに散在してしまい、どう活用していいかわからない状態でした。そこで2年前にSnowflakeを導入、それ以来データを活用しやすくなったと感じています。

株式会社サイバーエージェント グループIT推進本部 全社データ技術局 局長 鷹雄健氏
株式会社サイバーエージェント グループIT推進本部 全社データ技術局 局長 鷹雄健氏

 たとえば、社内のほとんどのメンバーがTableauなどでデータを参照して行動するようになりました。グループ企業もあわせると1万人いるのですが、そのうち3,000⼈以上がTableauを使っています。

黒崎氏:組織としてデータドリブンを実現できている要因には、広告代理店としてアドテクノロジーを追求してきたという側面も大きいです。サイバーエージェントでは10年以上前から広告配信のシステムを作っているのですが、システムを適切に運用してターゲットに届けなければなりませんし、競合とも戦っていかなければなりません。そのため、比較的早い時期からデータ活用に対する意識はありました。AI Labという研究開発のための組織も2016年1⽉に立ち上げ、デジタルマーケティングを推進してきましたので、元々会社全体にデータ活用の文化が広がっていたと感じています

データ量の増加、柔軟なデータベース設計などのニーズにも対応

──データ活用を推進する中でも試行錯誤されていると思います。Snowflakeを導入する前には、どのような課題がありましたか。

黒崎氏:取り扱うデータ量がどんどん増えていくことが悩みの種でした。もちろん、鷹雄を中心に様々な基盤を用意することで、データにアクセスしやすいよう整理されてはいましたが、システムへの負荷も増していました。昼間にたくさんの人がデータにアクセスすることで負荷がかかり、夜間にはバッチ処理が走っている状況でしたので、クラウドのように使いたいときにつかいたいだけ利用できるものを探していました。

鷹雄氏:Snowflake導入前の課題としてデータ量はもちろん、テーブルやスキーマなどデータベースの設計に関するものもありました。柔軟に多様なデータを分析できるような仕組みを求めていて、色々なサービスを使ったのですが、データの変換にコストがかかっていたのです。そこで、Snowflakeなら非構造化データも柔軟に扱えるということで使ってみると、設計の時間が大幅に削減できました。

 また、コストも安いですし、投資すればするほど処理速度も上げることができます。たとえば、1時間かかっていた処理を1分で終わらせる、60倍の処理もできます。すると、インフラだけでなく分析者のコストも下げることができます。

──実際、Snowflakeは導入しやすかったのでしょうか。

鷹雄氏:導入しやすいと思います。たとえば、Snowflakeを評価するため、アカウントごとに400ドル分のクレジットが付与されています。400ドルというのは、試用のためだけならば簡単に使いきれない額なのですが、すぐに色々と試すことができて良かったと思います。

黒崎氏:私も鷹雄が使っていることを知り、せっかくなので試してみようと思いました。アカウント登録時にクレジットカードなど決済情報の登録も必要なく、すぐに400ドルの無償枠を試すことができました。また、アカウントを作成といった色々な設定にも手間がかかりません。実際に、自分たちのプロダクトデータをインポートして小さな構成で試してみると、データ量が大きくなったからといって極端に性能が悪くならないことが確認できました

 さらに、ドキュメントも充実しているため、基礎的な知識だけでも扱えます。実は当初、本格的な導入は考えていなかったのですが、「これはいけるぞ」という気持ちも持てたため全面的な採用に至りました。

社員の4人に1人はエンジニア。直感よりデータを重視する企業風土にマッチしたSnowflake

──組織内にSnowflake活用を浸透させるためにどのような発信をされましたか。特に黒崎さんは、日本で2名しかいない、Snowflakeコミュニティのエキスパートである「Data Super Hero」の1人です。今回の受賞にあたり、社外への情報発信も寄与したと聞いています。

鷹雄氏:Snowflake主催の勉強会を開催していただいており、社内でも数回にわたり勉強会を実施していただいています。Snowflakeを使ったプロジェクトについて社内発表したあと、多くの従業員が興味をもってくれたこともあり、勉強会も盛況のうちに終わりました。

黒崎氏:社外に向けては、エンジニアブログなどで情報発信をする文化も醸成されており、それを社内の人が参考にすることもあります。もしかしたら、私の投稿を見てSnowflakeに興味を持った方もいるかもしれません。

鷹雄氏:Snowflakeにおいて、デフォルトで保有できるアカウント数は25ですが、弊社では既に20を超えています。つまり、それだけSnowflakeを使ったプロジェクトが多く、社内にも浸透しているということです。データについても圧縮した状態で数百TB(テラバイト)はありますので、展開すればPB(ペタバイト)規模になると思います。

──では、Snowflakeはどのように活用されているのでしょうか?

鷹雄氏:社内端末のデータを集約して、セキュリティインシデントの予見をするプロジェクトなど、おもしろいものもあります。

黒崎氏:私は、いくつかの大きなプロジェクトに関わっており、そこで初期設計や構築、従来環境からの移行などをサポートしています。多くのプロジェクトでは、運用が開始されるとあとは使う人たちが自由にSnowflakeを活用していますね。ですから、データウェアハウスだけを専門に見ている人はいません。

 主に活用するのは、社内のデータサイエンティストやエンジニアなのですが、みんな自分で操作できています。これまでは日々、運用のケアをしなければならなかったのですが、Snowflakeはフルマネージドサービスなので気にする必要がありません。構築さえ済ませてしまえば、あとはユーザーが色々な機能を自由に使って活用できるようになっています

鷹雄氏:それは実感しますね。データウェアハウスに負荷をかけてしまうと影響が大きいため、従来はインフラエンジニアにサーバーの拡張や環境のアップグレードを依頼していました。しかし導入後は、Snowflakeのアカウントを渡すだけで、SQLなどに詳しくない人でもデータ分析できています。これは、大きく変わった点ですね。今では、アカウントで利用できる上限だけを設定して、あとは自由に使ってもらっています。

──次々と登場するSnowflakeの新機能もすぐに試されているそうですね。

黒崎氏:新機能でもユースケースが想像できるものは、すぐに触ってみています。元々扱いやすいこともありますし、今自分にとって必要でないものでも後から活用できるシーンもあるため、知っておくことが大切だと感じています。

鷹雄氏:特に「Snowsight」は使っている人も多いです。自分で書いたクエリをレビューしてもらうときに、 URLを渡してチェックしてもらうような使い方もしています。みんなが次々と新しい機能を調べて、使っているイメージですね。やはり、元々直感よりもデータを重視する文化が社内にあったのだと思います。

黒崎氏:弊社ではデータサイエンティストやエンジニアと一緒にプロダクトを作っていくことが多いため、ビジネス部門の従業員も含めてデータを重視する文化が広がっていますね

鷹雄氏:実際に弊社従業員数におけるエンジニア比率が25%、クリエイターも合わせると36%と多く、システムも外注せずに内製することが多いです。プロダクトだけでなく、人事や経理にもシステム室があり、何かやる場合は必ずエンジニアが関わります。そのため、“データを意識して働く”ということが当たり前になっています。そこは、弊社の特徴的な部分かもしれません。たとえば、新しいシステムを導入するときや業務フロー変更時にも、データをもとに合理的に判断しています。

──Snowflake活用のために工夫されていることはありますか。また、これからどのように活用していきたいでしょうか。

鷹雄氏:現在、Snowflakeのカウント開設を社内のポータルサイトから申請できるようにしています。申請後、担当者がスムーズに処理すれば最短数分で使えるようにしています。

黒崎氏:アカウント申請については、社内のシングルサインオンとも連携していることもあり、セキュリティが担保された状態で利用できるためアカウントも提供しやすいですね。

 また今後は、社内でうまくいった活用事例を他のプロジェクトにも展開して全体のレベルを上げていきたいです。特に、私が担当している小売企業向けのDXサービスにも、データ分析を活用できるプラットフォームを作っていきたいと思っています。今後も社内だけでなく社外にも広めて、ビジネスにインパクトを与えたいと思っています。

鷹雄氏:これまでは、セキュリティを担保してデータを共有することが難しく、CSVファイルの情報を整理したり、受け渡し方法を考えたりする必要がありました。一方で、Snowflakeであればリアルタイムのデータを簡単かつセキュアに共有できます。そのため今後は、シェアリングの機能をもっと使っていきたいですね。今もデータをより多くの部門やグループ企業に共有、活用してもらえるような取り組みを進めているところです。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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