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NECが10年後に見据える行政サービスの姿 実現へ向けて「行政デジタル化」へ注力


 昨年9月1日にデジタル庁が設置されて以来、官庁におけるデジタル化の機運が高まっている。一方でマイナンバーカードの活用などは依然として加速せず、国民が恩恵を受けることのできるシーンは多くない。NECは、2022年1月19日に行政デジタル化に向けた取り組みについて、記者説明会を開催。同社が目指す、未来の行政サービスを実現するための道筋が説明された。

国と連動しながら行政デジタル化へ

 2021年9月にデジタル庁が設置されると、12月24日には「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が閣議決定された。1月19日、日本電気(以下、NEC)は「NECが目指す行政デジタル化に向けた取り組み」と題した記者説明会を開催。同社としてどのような対応を実施していくのか、執行役員常務の中俣力氏が説明した。

日本電気株式会社 執行役員常務 中俣力氏
日本電気株式会社 執行役員常務 中俣力氏

 NECでは、社会基盤ビジネスユニットと社会公共ビジネスユニットを設けており、前者にガバメントクラウド推進本部を約50名体制で昨年新設。これら2つのビジネスユニットで行政への対応を行っているという。

 デジタル庁が策定した重点計画においては、目指す社会を実現するために「デジタル化による成長戦略」「医療・教育・防災・こども等の準公共分野のデジタル化」「デジタル化による地域の活性化」「誰一人取り残されないデジタル社会」「デジタル人材の育成・確保」「DFFTの推進を始めとする国際戦略」の6つが示されている[※1]。これらに対してNECでは、下図のように「NEC 2030VISION」を提示しており、中俣氏は「『2025中期経営計画』[※2]を推進している中ですが、未来の望むべき環境/社会/暮らしをイメージしながら社会に実装していこうという取り組みをはじめています。政府が掲げている目標とも連動しています」と説明する。

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 特に行政デジタル化で注力する項目について、縦軸にデジタルの浸透度、横軸に適用領域をとった下図を提示。本説明会では、オレンジ色でハイライトされている5つの領域について解説をするとした。

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1.業務標準化

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 国によるガバメントクラウドの整備など、これまで各自治体が独自に実装していたものを統一して効率化していこうという動きがみられる中で、NECは業務標準化に対応したパッケージを改めて整備していく。業務標準化が推進されただけでは実際のメリットを享受することは難しく、ビジネスプロセスの変化などのギャップを埋めるようなツールを提案したり、AI/データを利活用して効率化したりと最新技術によりDXに寄与していくという。

2.デジタル基盤クラウドシフト

 DXを実現するためには、レガシーシステムの刷新やモダナイゼーションが欠かせない。業務標準化が進展し、データが揃ってきた段階で確固たるクラウド基盤が必要になると中俣氏は述べる。NECでは、下図のようにレガシー刷新からデジタルシフトに向けたアプローチを想定しており、その中心としてクラウド基盤が据えられている。同社ではこれまでデータセンターやクラウドサービスを提供している知見も活かしながら、マイクロソフトやAWSといったハイパースケーラーと呼ばれる企業とも高いレベルでの協業を推進するという[※3]。また、行政の場合には機密情報を扱うことからもプライベートクラウド構築も必要であり、ハイブリッドクラウドが前提となる。

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 現在SCSKの印西キャンパスにおけるデータセンタ―事業で協業を進めている[※4]段階でもあり、各社の強みを活かしながら可用性のあるものを提供したいという。また、ハイブリッドクラウドをより高いレベルで実現するために「Digital Integration Hub」を2023年度に提供予定だとし、データ連携を容易にするためのAPI連携基盤プラットフォームとして利用できるという。

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[※1]デジタル社会の実現に向けた重点計画」より、「目指す社会を実現するために施策を展開する6つの分野」(デジタル庁)

[※2]2025中期経営計画」(NEC IR資料)

[※3]NEC、米国AWSとグローバル5Gやデジタル・ガバメントなどの領域で協業を拡大」、「マイクロソフトとNEC、戦略的パートナーシップを拡大 お客様のビジネスレジリエンシーと事業成長を支援」(NEC プレスリリース)

[※4]NEC、お客様のDX加速と事業成長の支援に向けて『NEC印西データセンター』を開設」(NEC プレスリリース)

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この記事の著者

岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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