昨年AWSに抜かれたSalesforceが順位を落とす結果に
2015年から実施され、8回目となる今回の「Businesses at Work 2022」の調査結果について、Okta データ&インサイト担当ディレクター ローレン・アンダーソン(Lauren Anderson)氏が解説。本調査は、企業や個人がどのようなアプリケーションやサービスを使用して業務を効率化し、生産性を高めているのかを見ているものであり、「Okta Integration Network」(OIN)の匿名化されたデータに基づいたものだという。なお、2020年10月1日から2021年10月31日までのデータを分析した結果だとしている。
はじめに、顧客数でみたときに最も人気のある業務アプリケーションとして、Google Workspaceが初めて3番目に位置付けられており、前年比38%の成長率をみせているという。また、昨年同様Microsoft 365が首位をキープ、Amazon Web Services(AWS)が2位となっており、昨年AWSに2位の座を奪われたSalesforceが4位に転落した形となった。
また、地域別にみたところGoogle Workspaceは、APACで68%、EMEAで48%と高い前年比成長率を示している。一方、北米ではZoomが4位にまで伸びており、AWSに迫りつつある勢いだという。その他、北米地域以外でSlackが上昇しており、GitHubもAPACでは昨年ランクインしていなかったが今年は8位となっている。
次に急成長したアプリケーションとして、顧客数とユニークユーザー数で上位10個に絞ったグラフを提示。ローレン氏は、「企業がコラボレーションツールやセキュリティに対して大きな投資を行っていることがわかります」と説明する。
顧客数でみたとき最も急成長を遂げているアプリケーションに、Notion、TripActions、Postman、Keeper、Airtable、Fivetran、Gongという7つが初めてランクイン。Miro、Figma、monday.comのみが昨年から継続してのトップ10入りとなった。3位のPostmanは、API管理を目的にしたものとしてトップ10入りした過去2番目のアプリケーションだという。
一方で、ユニークユーザー数でみたときにはNetskopeが913%の成長率で首位となっている。Calendly、Notion、TripActionsも急激な伸びをみせており、Notion、TripActions、Postmanという3つに関しては、前述した顧客数ベースのランキングにも名前を連ねている。
次にローレン氏は、ベスト・オブ・ブリードによるアプリケーション採用が拡大しているとして、1社あたりの平均アプリ導入数をグラフで示した。全体平均として昨年88個から89個に増加、規模別で見ると従業員数2,000人以上の大規模企業では187個、それ以外の小規模企業では72個の平均導入数となっている。「企業規模によりニーズの範囲が異なることが影響しています」とローレン氏。特に、Oktaを長く利用している企業ほどOINによる業務アプリケーション利用数が増加しており、Okta導入当初と比較しても4年以上が経過した企業は平均210個と、10倍近くもの開きがあるという。
また、Microsoft 365を導入している企業において38%がGoogle Workspaceを併用しており、昨年の36%から伸びている。さらに、AWSとの組み合わせは41%から43%に増加、ZoomやSlackの導入も増えていることがわかる。
次に、本調査結果の中でも興味深い結果としてマルチクラウドの台頭をローレン氏は挙げる。
AWSを使用している顧客数は他と比べても圧倒的に多く、次いでMicrosoft Azure(Azure)、Google Cloud Platform(GCP)となった。ローレン氏は、「Oktaを使用するお客様においてもマルチクラウドの活用が増えています。また、上位3つ以外にもTwilioやHeroku、MongoDB Cloudも成長を遂げていることがわかります」と述べる。
加えて、2つ以上のクラウドプラットフォームを利用する際、AWSとGCPという組み合わせが最も伸びており、2018年から導入数は2倍以上になっているという。とはいえ、AWSとの組み合わせがすべて上手くいっているわけでなく、AWSとAzureの組み合わせでは減少しており、1位から下落している。