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シスコシステムズ「IWO」でクラウドコスト削減へ 可視化ツールでムダを省く

CTC「『デモでわかる効果的なクラウド基盤コスト削減方法』セミナー」レポート

FSOを実現する「Intersight Workload Optimizer(IWO)」

 これら3製品のうちIWOは、アプリケーションの観点から各種リソースのオブザーバビリティを実現する製品。仮想マシンやストレージ、ネットワーク、さらにはCPUやメモリまで、アプリケーションを構成するあらゆるコンポーネントのリソース使用状況を「正常」「通知」「推奨」「危険」の4段階で可視化するとともに、それぞれをコストの観点から最適化するためにとるべき具体的なアクションも提示してくれる。

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 なおIWOでは、各リソースの利用状況を評価するに当たり、「モノの売買や流通」に似た独自のアルゴリズムを導入している。

 「IWOは、データセンターを構成するリソースに『モノの価格』に相当するスコアを付けています。アプリケーションを構成するそれぞれのサービスやワークロードがリソースを利用する際は、サービスレベルを維持できる範囲でなるべく価格が安いリソースを利用するよう判断し、もし現実のシステム構成がこれと乖離している場合はユーザーに改善策のアクションを提示します」(吉原氏)

 IWOと同様なツールも複数存在するが、一般的な製品と比較してIWOは次のような点で優れている。たとえば、10台のオンプレミスサーバー上でリソースが稼働する環境において、一般的なツールでは10台を前提条件として最適化を行うが、IWOは8台などのできるだけ少ないサーバー台数での稼働を目指して最適化を行う。

 IWOのアプローチでは、まずアプリケーションの性能を保証する。その上でインフラの利用効率を高めて、システム全体のROI(投資対効果)を向上させることも目指す。つまり、性能保証の実現と同時に、「できるだけ少ないリソースでアプリケーションを動作できるよう」ユーザーに改善を促すのだ。

 一般的なツールでは最終的な判断を人が行わなければならないが、IWOは性能保証をするので最適化判断をそのまま信じることができる。これによってリソースに対する過剰投資を抑止し、高いROIの達成を目指す。

IWOを使ったクラウドコスト削減の方法

 このように財務の視点を取り入れながらクラウド運用を管理する手法を「FinOps」と呼び、近年クラウドコストに悩む企業の間で注目を集めている。クラウドはオンプレミスと比べシステム構成が複雑になりがちで、またクラウド運用の最適化に長けた技術者の数も極めて少ないため、どうしてもその利用コストが高騰しがちだ。加えて、多くのインフラエンジニアは、長年にわたるオンプレミス環境運用の中で培ってきた「念のためのオーバーサイジング」の習慣がなかなか抜けず、クラウドに移行した後も過剰なインフラ投資を行う傾向にある。

 しかし、オンプレミスにはないクラウドならではの柔軟な運用性を生かすことができれば、かなりのコスト削減が見込める。具体的には、利用が終わったにも関わらず削除されずに残っているリソースを削除または一時停止し、過剰なリソースを割り当てている仮想マシンやコンテナのリソースを縮小するだけでもかなりの効果が期待できる。また、リソースの長期契約で大幅なディスカウントを受けられる「リザーブドインスタンス」をうまく活用することでも、大幅なコスト削減が可能だ。

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 「IWOではこうした様々な観点から、現在のクラウドリソースの利用状況をスコアリングし、さらに効率的な利用方法をユーザーに提案してくれます。それにより、たとえばクラウドリソースの削除で5~10%、リサイズで20~30%、一時停止で20~40%、リザーブドインスタンス活用によって20~40%のクラウドコスト削減が可能になると言われています」(吉原氏)

 さらには、既存のオンプレミスのシステムをそのままの構成でAWSやAzureのクラウド環境に移行した場合のコストシミュレーションと、IWOが提示する最適化案に基づいて移行した場合に掛かるコストを比較し、削減効果があがるのか算出する機能も備わっている。

次のページ
CTCの検証施設「TSC」でIWOを実際に触ることも

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この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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