短期間でのクラウド移行を決断
1990年に創業した「ジャパンホームシールド株式会社」は、地盤調査・解析や構造設計、建物検査などの事業を行っている。同社が調査・解析や設計、検査などに携わった住宅は200万棟を超えるという。豊富な実績は高度な技術力の裏付けでもあり、同社では常に新しい技術開発にも積極的に取り組み、多くの特許も取得している。
「国内住宅の4棟に1棟は何らかの形で我々が関わっています。新しい技術を使い、安心・安全を提供するのがジャパンホームシールドの役割であり、解析専門会社として中立な第三者解析を行っているのが特長です」と言うのは、ジャパンホームシールド 改善推進部(情報システム管掌) 課長 佐藤隆一氏だ。地盤や建築物は、安全性を高めようとすれば追加工事が必要になりコストもかかる。ジャパンホームシールドには安全性を担保しながら、コストを最適化できるノウハウがあるという。
ところでジャパンホームシールドは、大手建材会社の連結子会社としてビジネスを展開していたが、2020年12月にグループから独立することが発表された。2021年3月には株式譲渡が成立し、単独での事業に移行。これを契機に、大手建材会社に頼っていたITインフラも1年以内に同社単独で運用することになったという。
新規にデータセンターを独自運用するのは、IT部門のリソースや準備する時間の面でも不可能だと判断。短期間で新たなITインフラを用意し、少ないメンバーで安定した運用をするには「クラウドしか選択肢はなかった」と佐藤氏は言う。
クラウドプラットフォームはAWS、Microsoft Azureが候補となった。既にActive Directoryで認証基盤を構築していること、Windows Serverベースのシステム構成だったことからAzureにしたという。さらに、クラウド移行をサポートするパートナーには、通信キャリア系ベンダーを候補にした。「新たなクラウド利用では、クラウドだけでなく、ネットワークも含めて見直す必要があります。ネットワークの設計、構築には手間と時間がかかるので、そうしたノウハウを総合的に見て、キャリアにお願いすべきだと考えました」と佐藤氏。そして、Azure運用の最上位のエキスパート資格「Azure Expert MSP」の認定を受け、通信キャリアとしてネットワークも得意とするソフトバンクを移行パートナーに選んだ。