SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine Day Special

2024年10月16日(火)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

クラウド時代に求められる「オブザーバビリティ」とは

オブザーバビリティって何? なぜ必要? 監視(モニタリング)と違う? 今さら聞けない基礎解説

徹底理解「オブザーバリティ」その① 今、なぜオブザーバビリティなのか

 近年、エンタープライズITでは「オブザーバビリティ」を確保することの必要性がしきりと唱えられ、それを実現するソリューションへの注目度、関心も高まっています。果たして、オブザーバビリティとは何であり、その実現には何が必要なのでしょうか。また、オブザーバビリティを確保することでどのようなベネフィットが企業にもたらされるのでしょうか。本連載では、その基礎を複数回にわけて解説します。

オブザーバビリティとは?

 「オブザーバビリティ(Observability:可観測性)」とは、文字どおり「観測(Observe)」が可能な状態を意味する言葉です。つまり、エンタープライズITにおけるオブザーバビリティとは、エンタープライズシステムを構成するIT機器やアプリケーション、サービスなどが観測可能な状態にあることを指しています

 オブザーバビリティにおいて観測の対象となるのは、システムの「振る舞い(挙動)」です。その観察を通じて「レスポンス遅延」「停止」「エラー」といった、“好ましくない何らかの挙動”をすみやかに検知し、障害の原因を特定することができれば、そのシステムはオブザーバビリティが確保されていることになります。

モニタリングの限界とオブザーバビリティの必要性

 オブザーバビリティにおける障害検知と対処・対応のアプローチは「モニタリング(監視)」に似たところがあり、そのためオブザーバビリティについて語るとき、モニタリングとの違いをよく尋ねられます。

 では、オブザーバビリティとモニタリングでは何が違うのでしょうか。

 周知のとおりモニタリングは、エンタープライズシステムの可用性を高めるためのソリューションとして以前から存在するものです。そして、モニタリングを通じた障害検知と対処のアプローチは大きく2つあり、その1つは「メトリクス(Metrics)」を用いるものです。

 ここで言うメトリクスとは、システムを構成するリソースの状況(CPU使用率、メモリ使用率、ディスク使用率など)やサービスの状況(レスポンスの遅延、トランザクション量、エラー発生率など)を表す数値データ(数値指標)です。それらを使ったモニタリングのソリューションは、システムを構成するサーバーや端末、ネットワーク機器、ソフトウェアなどの状況をモニタリングし、その数値があらかじめ設定した「しきい値」を超えた場合(あるいは下回った場合)にアラートを発し、IT運用管理者などに対処を促します。また近年では、たとえばCPU使用率が80%を超えた場合の対処方法を定めておき、それにしたがってシステムが自動的に措置を講じることも多いです。

 モニタリングにおけるもう1つの障害検知・対応のアプローチは、システムの「ログ(Logs:システムで起きたイベントの履歴情報)」をベースにしたものです。こちらは、ログを常にモニタリングし、異常を検知した場合にアラートを出して、対応につなげるといったソリューションです。

 これら2つのソリューションは、アラート発出のトリガーは異なるものの、前提となる条件は共通しています。それは「システムの好ましくない挙動を引き起こす要因が特定できている」ということです。この条件のもと、システムを構成する何らかのIT機器やアプリケーション、サービスの状態を監視して障害の発生を未然に防ぐというのがモニタリングの基本といえます。これを逆に言えば「障害が何によって引き起こされるかの予測、特定が困難なシステム」では、モニタリングが有効に機能しなくなるということです。

 そして、今日のエンタープライズシステムは障害原因の予測、特定が非常に困難になりつつあり、従来型のモニタリングだけでシステムの可用性やサービスレベルを担保するのが難しくなってきています。結果として、エンタープライズシステムすべてにわたってオブザーバビリティを確保する必要性が高まっているのです。 

次のページ
オブザーバビリティの必要性を後押しした2つの変化

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
クラウド時代に求められる「オブザーバビリティ」とは連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

清水 幸弥(シミズ ユキヤ)

Elasticsearch株式会社
ソリューションアーキテクチャ、シニアマネージャーSolution Architectとして、Elastic製品の提案活動、顧客の検索プロジェクトやデータ分析プロジェクトにおける技術支援に従事。Elastic入社前は、複数の外資系ベンダーにて、主にクラウドインフラやITO...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/16651 2022/09/29 08:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング