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リーマンから野村證券へ 「銘柄管理システム」を支えるグローバルリーダーは変化に強い

第5回:野村證券 ホールセールIT部 データ・サービス課 堀内美恵子氏

 野村證券 ホールセールIT部 データ・サービス課の堀内美恵子さん。子育て奮闘中の昨年、グローバルチームのヘッドに抜擢された。「毎日バタバタ」という堀内さんは、どのようにして日本、インド、欧米など、あわせて44人のチームをマネジメントしているのだろうか。

銘柄管理ってどんな仕事?

酒井真弓(以下、酒井):堀内さんが担当している銘柄管理ってどんな仕事ですか?

堀内美恵子(以下、堀内):銘柄とは株や債券、先物オプションなどの金融商品のことです。たとえば債券であれば額面や発行日、償還日、クーポンといった詳細な属性データを管理することを「銘柄管理」と呼んでいます。

 銘柄管理は、金融業のフロントからバックまでの業務を支える基礎的で不可欠な業務です。たとえば株を取引するときにデータが正しく設定されていなければ、顧客の注文を正しく社内システムに反映することもできませんし、最終的に決済にまでに影響を及ぼす可能性もあります。誤った情報が設定されていたら、重大なインシデントを招く恐れもあります。ビジネスおよび多岐にわたる社内ユーザーが必要とする情報を正確かつ迅速に提供していくことが、銘柄管理業務の最大のミッションです。

酒井:情報の正確性を担保するために、どんなことをしているのですか?

堀内:重要な銘柄属性を「Critical Data Elements」と位置付けていまして、それらのデータの品質を担保するためのシステムを導入し、継続的にデータ品質のモニタリングを行っています。具体的には、属性ごとにロジックや閾値を定め、そこから逸れていたら理由を調査してデータを修正します。

 また、「Follow the Sun」と呼んでいる通り、各地域の時差を活用することにより、世界主要都市にいる同僚と連携しながら24時間体制でデータ管理業務を行っています。

酒井:ロジックから外れた値をシステムがピックアップし、最後の最後は目視で修正していくということですね。

堀内:はい、今のところはそうです。将来的にはマシンラーニングなどを活用し、データの修正もある程度自動化することを検討しています。

酒井:堀内さんは社会人1年目のときに銘柄管理に携わったそうですが、どんなところにやりがいを感じていますか?

堀内:当時、素朴な疑問を持ったことを今でも覚えています。「なぜこんなにたくさんの情報を設定するのだろう。本当に100属性も設定する必要があるのかな?」って。それで先輩たちに聞いて回ったら、必要ない情報が結構あり、長く続けてきた定常業務にも見直しの余地がたくさんあることに気づきました。銘柄管理は一見すると地味な仕事ですが、「改善」という視点を持ち、より良い業務のあり方を追い求めるのが面白くなっていきました

 また新規ビジネス、法規制への対応、マーケットのイベントどれ一つをとっても銘柄情報に対する新たなニーズは常にあります。これほど幅広く必要とされるデータを、部署や地域を超えて協同しながら社内ユーザーに提供する仕事は、銘柄管理業務ならではの魅力だと考えています。

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野村證券 ホールセールIT部 データ・サービス課 堀内美恵子氏

グローバルなチームのマネージャーに求められるのは

酒井:堀内さんは現在、ホールセールIT部というグローバルなチームでリーダーを務めていらっしゃいます。リーダーとして心がけていることは何ですか?

堀内:目指す方向性をきちんと示すことです。変化が多い部門なので、なぜ今こうするのかという背景をきちんと説明し、確固たる姿勢を見せることを意識しています。グローバル全体で何かを変えるとき、最終的には各地域のマネージャーを頼ることになります。そのためには、まずは各地域のマネージャーに方向性を理解してもらい、考えを一致させることを最優先にしています。

酒井:となると、堀内さんが一人で抱え過ぎないことも重要な気がしますね。

堀内:はい、実は私の課題でもあります。私はもともとアジア地域のマネージャーで、昨年グローバルヘッドに就任し、今は両方見ている状況です。アジア地域を引き継いでくれる人を早く育てる必要があります。

酒井:なるほど、後任育成が急務課題なのですね。グローバルチームということで、いろいろな国や文化の方々と一緒に働く上で工夫されていることは何ですか?

堀内:この環境に慣れてしまって無意識に行っていることも多いのですが、身近な例としては国によって祝日が異なるので、それを加味したデリバリースケジュールを立てるようにしています。

 たとえば、インドは宗教的なお休みが多く、日本のお正月のようなヒンドゥー教のお祝い「ディワーリー」は10月です。また、自分の結婚式のために3週間休むという人もいます。プライベートと仕事の優先順位やバランスの取り方が文化によって様々です。

 そもそも国や文化の違いの前に、人の働き方は多様性に富んでいます。ワーク・ライフ・バランスの必要性が叫ばれて久しいですが、当社には「助けが必要なときはお互いさま」ということで、サポートし合うカルチャーが浸透しています。

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優秀な人材の確保が課題

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この記事の著者

酒井 真弓(サカイ マユミ)

ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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