HPEは、データ成熟度の低さが官民の両方において業績の伸長や環境サステナビリティの促進といった重要な成果を達成する妨げになっているといった、グローバル調査結果を発表した。
本調査は、YouGov社がHPEに代わって実施したもので、日本を含む19カ国の企業または官公庁に所属する8,600人以上の意思決定者を対象に実施。その結果、平均的なデータ成熟度(データから価値を創出する能力)は5段階で2.6であり、最上位の成熟度に達した組織は3%に留まることが明らかになったという。
HPEの社長兼CEOであるアントニオ・ネリ(Antonio Neri)は今回の調査結果を受け、次のように述べている。
「世界のデータが、私たちの生活そして働き方の向上を担う非常に大きな可能性をもっていることは広く認識されています。しかし、この可能性を解き放つには、デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略の転換が必要です。DXの基軸を『クラウドファースト』から『データファースト』に移す必要があります。すなわち、戦略的資産としてデータを活用するという包括的な目標に合わせて、戦略、組織、テクノロジーに関する選択を調整することを意味します」
データから価値を創出するケイパビリティ不足が重要な成果を阻害
本調査は、HPEが開発した成熟度モデルに基づき、企業や官公庁の戦略、組織、テクノロジーを基準に、データから価値を創造する能力を評価している。
最も低い成熟度レベル1は「データの無秩序」と、このレベルではデータプールが隔絶しており、洞察や成果を生み出すための体系的な分析が行われていないとのこと。
最高レベル5は「データエコノミクス」と称し、このレベルでは、データが戦略的に活用され、成果が上がっている状況だ。組織内外のデータソースへの一元的なアクセスにより、高度な分析やAIを活用した分析が行われているという。
調査の結果、成熟度レベル1(データ無秩序)の組織は14%、レベル2(データ報告)は29%、レベル3(データ洞察)は37%、レベル4(データ中心)は17%、レベル5(データ経済性)はわずか3%であることが判明。
データから価値を創出するケイパビリティ不足によって阻害されている能力として、以下の項目が挙げられている。
- 売上の拡大(30%)
- イノベーション(28%)
- 顧客体験の向上(24%)
- 環境サステナビリティの改善(21%)
- 組織内効率の向上(21%)
戦略、組織、テクノロジーのギャップを解消する必要
調査では、企業がバリューチェーン全体でデータを活用するために解決しなければならない戦略、組織、テクノロジー面のギャップを詳細に示しているという。調査結果の例は以下の通り。
- データ戦略が組織の戦略における重要な要素になっているとわずか13%が回答
- データ関連の取り組みのための予算について約半数が、予算を割り当てていない(28%)、または、まれにしかIT予算を充当することがない(20%)と回答
- データドリブンな製品やサービスを提供することに戦略的に注力していると28%が回答
- データ分析について、機械学習や深層学習を用いていないと回答し、表計算ソフト(29%)あるいは、ビジネスインテリジェンス(BI)や定型レポート(18%)に依存していると約半数が回答
クラウドとエッジにわたってデータをコントロールできることが望ましい
データ成熟度の低さの特徴は、包括的なデータおよび分析アーキテクチャがなく、データが個々のアプリケーションまたは場所に隔絶されていることだと同社は指摘する。これには、回答者の34%が該当するとのこと。
一方、企業全体のリアルタイムデータに一元的にアクセスできる中央データハブまたはファブリックを導入しているのはわずか19%で、さらにこのデータハブには外部データソースも含まれていると答えたのは8%となった。
データソースがクラウドやエッジに分散する傾向が強まっていることを背景に、回答者の大多数(62%)が、データに対する高度なコントロールとデータから価値を創出する手段を持つことが戦略的に重要であると回答している。
なお回答者の半数以上(53%)が、独占的にデータを保持している企業がデータから価値を創出する能力をコントロールしすぎていることを懸念しており、39%がクラウド戦略を再検討していると回答した。その理由としては以下の通り。
- クラウド費用の増加(42%)
- データセキュリティへの懸念(37%)
- より柔軟なデータアーキテクチャの必要性(37%)
- データに対するコントロールの欠如(32%)
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