データガバナンス組織の立ち上げ、関係組織をどう巻き込む? 広がる親会社主体での推進とポイント
【第3回】戦略的なデータガバナンス実現──データガバナンス組織立ち上げにおける具体的な進め方

データドリブン実現のためにはデータガバナンスが重要であり、データガバナンスを推進していくための組織・体制は不可欠である。今回は、データガバナンス組織をどのように立ち上げて具体化していくのかを解説する。
データガバナンス推進における、アプローチ方法の考察
本連載を通じ、データ専門組織やデータガバナンスの必要性はご理解いただけただろう。では、どのようにデータガバナンスを推進していけば良いのか、そのアプローチ方法について述べたい。
下記の表は、筆者が所属するクニエで、データマネジメント/データガバナンスの導入支援をする際の標準的な手順の一部である。
プロセス | アクティビティ(例) |
---|---|
アセスメント | アセスメント表による現状調査 |
データに関する成熟度評価(スコア化) | |
アセスメント結果のレポート | |
目的定義 | ビジネス目的定義 |
データ課題抽出(目的とのギャップ分析) | |
ビジネス目的を実現させるために求められるデータマネジメント機能の適応状況と定量的評価(目的達成のための数値化) | |
全体方針 | データマネジメントを導入するためのプラニング、ロードマップ整備 |
データガバナンス計画 | データマネジメントを導入、推進していくためのデータガバナンス組織の定義 |
データガバナンス推進チーム任命、立ち上げ | |
データに関する原則、ポリシー、標準・基準の定義 | |
データマネジメントに関するプロセス、手順の定義 | |
データマネジメント支援対象となるプロジェクトの精査および対象プロジェクトの具体的支援 |
「データドリブン経営実現のためのデータガバナンス推進」を目的とした場合、まず推進するにあたって、なぜデータガバナンス組織が必要なのかを理解し、組織のミッションや何をしていくのかを明確に定義する必要がある。そのためには、「アセスメント」を実施し、自社のデータに関する成熟度を客観的に評価し、現状を把握しておく必要がある。
次に「目的定義」では、ビジネスで目指す姿や、現状とあるべき姿のギャップを整理して、データに関する課題を抽出していく。この課題抽出の際は、「ビジネス」「データ」「システム」の3つ観点で整理し、ビジネスとデータ、データとシステムそれぞれの関係を明確にしなければならない。
そして、“目的と課題の定義”の結果を踏まえて、目指す姿を実現するために何を実施すべきか「全体方針」を策定し、具体化していく。その一部がデータガバナンス推進の施策となる。
データガバナンスを推進していくためには、「データガバナンス計画」が必要である。その計画では、データライフサイクルを強化していくために、だれが(Who)、いつ(When)、何を(What)、どのプロセスを優先的に強化していくのか(Where)、どのような手段で強化をしていくのか(How)を整理し、どのような役割の人材が必要なのか、どのような組織やプロジェクトと連携していけばよいか、どのようなルールが求められるかを検討していく。その後、検討結果を下図1のように「組織(体制・役割)」─「プロセス」─「ルール」という関係性で定義する。

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- この記事の著者
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小林 靖典(コバヤシ ヤスノリ)
株式会社クニエ シニアマネージャー
ITコンサルタントとして、システム企画、提案依頼書策定、要件定義分野から、データマネジメント/データガバナンス(データアーキテクチャ、MDM、データHUB、DL/DWH/BI、メタデータ管理、データ品質管理、データガバナンス組織構築、制度策定など)の分野で多数の実績を有...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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