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特集:年末特別インタビュー

【特集】激動の2022年をどう振り返る? 11人のITリーダーに“2023年の展望”を聞く

2022 年末特別インタビュー:ITリーダー&CIO/CDO編

 パンデミックから3年目を迎えた2022年は、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した世界経済への影響が大きく、歴史的な円安や大手テック企業での大量解雇、第五の戦場と言われるサイバー空間での争いが激化したことなどが記憶に新しいのではないでしょうか。そうした混迷した状況の中でも前進するための鍵が「IT」であり、DXの実現に向けて多くの企業が着実に前進した年でもありました。その中で、第一線で活躍するリーダーたちは何を考え、どのようなことに取り組んできたのか。そして、2023年をどのように見据えているのかを訊いてみました。

以下、11名の方からコメントをいただきました。
中外製薬 志済聡子氏、JPデジタル 柴田彰則氏、資生堂/資生堂インタラクティブビューティー 高野篤典氏、digil/ドーモ 田口慶二氏、パーソルホールディングス 柘植悠太氏、フジテック 友岡賢二氏、コープさっぽろ/ロケスタ/CIOシェアリング協議会 長谷川秀樹氏、LayerX 福島良典氏、ジャパン・クラウド・コンピューティング/ジャパン・クラウド・コンサルティング 福田康隆氏、富士通 福田譲氏、日本瓦斯 和田眞治氏(氏名 五十音順)

『DXグランプリ2022』への選出、成果が表れた1年
(中外製薬 志済聡子氏)

2022年を振り返って

 2022年は『CHUGAI DIGITAL』の取り組みを始めて3年目となる年であり、2030年を見据えたDXのロードマップの中で、2021年までの「人・組織を変える」フェーズ1から「ビジネスを変える」という重要なフェーズ2に移行を始めた年でした。

 社内のデジタル人財育成、社外からの獲得も進展しています。また、AI創薬、リアルワールドデータの活用などのR&D領域、生産機能のデジタル化やデジタルマーケティングの取り組みなど、バリューチェーンの効率化の領域で初期プロジェクトが成果を出し始めたと実感しています。

 さらに、対外的にも『DX銘柄』への3年連続の選定、さらに『DXグランプリ2022』への選出と高い評価をいただき、会社内での社員の更なるモチベーション向上につながりました。

中外製薬
上席執行役員 デジタルトランスフォーメーションユニット長
志済聡子氏

1986年 日本アイ・ビー・エム株式会社入社。官公庁システム事業部、ソフトウエア事業部等で部長を歴任後、IBM Corporation(NY)に出向し、帰国後2009年に執行役員公共事業部長に就任。その後も執行役員としてセキュリティー事業本部長や公共事業部長を歴任。2019年中外製薬に入社し、デジタル・IT統轄部門長。2022年より現職。

2023年の展望

 2022年に引き続きDXにおいては、「ビジネスを変える」フェーズ2でのさらなるステップアップを目指します。

 破壊的な変化を続けるヘルスケア領域において、常にワールドクラスのIT・デジタル技術のトレンドを意識し、新たな価値創造や一層の効率化を目指して『CHUGAI DIGITAL』を深化させたいと考えます。その1つのキーワードは、オープン・イノベーションと共創です。自社の経験値にとらわれず、業界内外の様々なパートナー様とともに、ヘルスケア領域におけるトップ・イノベーターを目指したいと思います。

 ITの基盤面において、今年はグローバルレベルの業務プロセス改革および組織改革がスタートする重要な年であり、会社の事業基盤刷新への大いなる貢献が期待されています。ITアーキテクチャー・ガバナンス・セキュリティの分野の更なる強化にも努めてまいります。

DX戦略が本格始動、変化への挑戦の年に
(JPデジタル 柴田彰則氏)

2022年を振り返って

 2022年は「変化への挑戦」の年でした。JPデジタルは、2021年7月に日本郵政グループのDX戦略の実行支援部隊として設立されました。本年は戦略に基づいた開発の本格始動の年であり、UX、データドリブン、アジャイル開発などを本格的に取り入れた複数のプロジェクトを進行中です。

 たとえば、日本郵政グループ本社1Fの大手町郵便局を実証実験郵便局として改装し、我々がアジャイル開発した様々なサービスに対して、センサーや利用ログ、インタビューなどの各種データをもとに、UX視点で設計した期待効果に対して、PDCAを重ね磨くと言った具合です。

 また、当社内の取り組みとしては、ゼロトラストでのIT整備も実現しました。さらに、日本郵政グループ社員へのDX人材教育も進めており、今では経営幹部が主体的にデザイン思考を学ぼうという意識に変わってきました。当グループは150年以上の歴史ある巨大な組織ですが、少しずつ変化の手応えを感じています。

JPデジタル
CIO・日本郵政DX推進部 兼 グループIT統括部
柴田彰則氏

外資ITベンダーで新規事業の立ち上げや大手企業のアカウントマネージに従事。2012年からは、日本郵政システム部門で新規ITサービスの企画、開発、サービス運営に従事、2020年から日本郵政DX推進部、JPデジタルの発足から参画し現在に至る。

2023年の展望

 2023年は「実行」の年となります。JPデジタルで準備してきたアプリやサービスを順次展開する計画です。

 郵便局は、お子さまから高齢者まで多様なお客さまをサポートする社会インフラであり、全国2万4000件もの郵便局のリアルサービスと、デジタル先進技術を融合し、地域や年齢を超えたあらゆるお客さまに便利さを体感いただくことを目指しています。プロジェクトメンバーには、課題の本質を捉え、成功を信じ、自分事として取り組むことが重要だと常に伝えています。加えて、経験の少ないメンバーは、各分野のエキスパートとのペアワークにより専門性の習得に取り組んでもらっています。

 プロジェクトの実践を通じ、専門知識獲得と意識改革の両方を実現することで、より強いチームに成長させたいと考えています。読者の皆さんの中にも、DXやITのプロジェクトに取り組まれている方が多いと思います。共に高い志を掲げ、プロジェクトを成功に導き、充実した一年となることを祈念します。

創業150周年、グローバル規模で変革を進めた1年
(資生堂 高野篤典氏)

2022年を振り返って

 当社は創業150周年という重要な節目にあり、同時に中期経営計画「WIN 2023」の折り返しの年でした。特に日本市場においては、資生堂インタラクティブビューティーを設立し1年を迎えました。当社のビューティー領域の知見と、デジタルサービスと最先端テクノロジーに強みをもつアクセンチュア社との融合により、美をよく知るデジタル・IT集団として、日本市場のDXをリードしています。

 具体的には、お客さま情報をOne IDで統合した「Beauty Key」のローンチや、AI技術を活用した「Beauty DNA Program」のテスト展開など、「テイラーメイドなオンリーワン体験(一人ひとりにあった美容体験)」を実現することにより、お客さまの満足度を向上させ、長期にわたるエンゲージメントを強化しています。

 また、グローバルでは、「FOCUS(First One Connected & Unified Shiseido)」が進行中です。資生堂グループ全体において業務プロセスの標準化と最適化、またデータの標準化と統合を一つの共通システム上で実現する試みです。これはまさにITを進化させ、ビジネスを変革する取り組みで当社DXビジョンである「Global No.1 Data-Driven Skin Beauty Company」に向け、重要な基盤構築が進捗した1年でした。

資生堂 エグゼクティブオフィサー CITO
資生堂インタラクティブビューティー
共同代表取締役社長
高野篤典氏

1992年ノーザンテレコム ジャパン入社。デル(現デル・テクノロジーズ)などを経て、2019年4月資生堂に入社。2021年1月エグゼクティブオフィサー・CITOに就き、同年7月資生堂インタラクティブビューティーの社長を兼任。

2023年の展望

 長引くコロナ禍での変化がNew Normalとして定着する中、様々な取り組みを加速します。重要なKPIであるグローバルでのEコマース比率35%以上を達成し、DXを通じてお客さま一人ひとりの体験価値の向上やデータ利活用を進め、長期愛用者が拡大できると確信しています。

 そのためにもシステム面では、新しいマーケティングモデルを加速するデータ基盤の整備と高度化に加え、2023年末までに「FOCUS」の全地域導入・本格稼働がターゲットです。また、生産性や投資効率の改善も重要です。イノベーティブな取り組みには積極的な投資を行う一方、FOCUSやDX以外の既存のIT投資費用を2020年度比で約10%削減し、効率化するとともに、デジタルを活用し従業員の更なる生産性向上にも寄与していきます。

 これらの活動で産まれた費用や時間を、お客さまやパートナー様との新しい体験価値創出や価値向上に再利用することが最大の目標です。

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事業会社のCIO/CISOから独立、挑戦の年に (digil 田口慶二氏)

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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