NECおよび同社が販売するICT機器製造の多くを担うNECプラットフォームズは、量子コンピューティング技術を活用した生産計画立案システムを構築し、今年3月から電子部品をプリント基板に実装する表面実装工程(SMT工程)へ本格導入すると発表した。
これにより、生産設備の稼働率が15%向上するほか、毎日1時間から2時間かけて実施する生産計画立案の工数が90%削減につながるとしている。
NECプラットフォームズでは、一つのSMTラインで1日に約30品種もの製品を生産。品種の変更の際には数百種ある部品や製造条件の設定を変更する「段取り」を行う必要があり、この「段取り」はラインを停止して行う。そのため、日々異なるオーダーに対し高い生産性を維持するには、効率的な順番で生産することで「段取り」にかかる時間を短縮し、設備稼働率を向上することが必要となるという。
しかし、複数のSMTラインでの生産順の検討は、ライン同士の「段取り」時間の重なりの最小化など様々な点を考慮する必要があり、その組み合わせは膨大となるため生産計画立案に時間がかかるほか、対応可能な人材が限られるといった課題があった。
そこで両社は、量子コンピューティング技術により大規模な組み合わせ問題の超高速処理を実現するNEC Vector Annealingサービスを活用した実証実験を2019年より実施。実証実験の結果、熟練の作業者と同等以上の生産計画を数秒で立案できることが確認できたため、今回SMTラインを持つ4事業所の製造現場へ本格導入につながったという
NECプラットフォームズは、今後同様のSMTラインを持つタイ工場への展開を進めると共に、サプライチェーン全体の様々な工程・業務への拡大を進め、生産性最大化・棚卸最適化へ繋げていくとしている。
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