伊藤忠丸紅鉄鋼とNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は、鉄鋼製品を扱うサプライチェーン全体でのカーボンニュートラル実現のため、温室効果ガス排出量を可視化するクラウドサービスの実証実験を開始したと発表した。
この実証実験は、サプライチェーン上の企業から排出量に関する実データの提供を受けつつ、伊藤忠丸紅鉄鋼が持つ鉄鋼業界に関する知見と、NTT ComのICT技術とを融合して推進するというもの。また両社は共同プロジェクト「MIeCO2(ミエコ)」を立ち上げ、温室効果ガス削減に向け各種ソリューションの提供とその事業化の検討を行うとしている。
温室効果ガス排出量の算定に用いられる排出原単位には、個別企業が排出する実績値のデータである「一次データ」と、環境省などが業種や製品別に平均し公開しているデータである「二次データ」が存在する。
企業が排出量算定に「二次データ」を用いる場合、実績値ではないため精度が低く、企業努力により排出量を削減しても原単位には反映されにくいため、結果的に自社排出量の数値が減らない、といった課題があるという。そのためより正確な「一次データ」活用の必要性が高まっているとのこと。
そこで今回の実証実験では、鉄鋼製品を製造・販売・購買する複数の企業から協力を得ることで、以下の実証を図るとしている。
- サプライチェーン上にある企業間で「一次データ」を共有し、製品単位の排出量をより正確に算定
- 製品単位の排出量を活用し、自社の排出量をより正確に算定
- 排出量の共有・算定をクラウドサービスとして適用する際の実用性、効率性を評価
今後は、2023年度上期に鉄鋼製品のサプライチェーン全体にわたる温室効果ガス排出量を可視化するクラウドサービスの提供開始を目指す。また、排出量に関するデータの収集・算定・分析・情報開示および排出量削減に向け、企業の業務負荷軽減と社会的なグリーントランスフォーメーション(GX)への貢献を図るソリューション群の提供を「MIeCO2」プロジェクト内で共同して検討していくとしている。
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