1秒たりとも止めないのはすごく大変なこと
田中久子(以下、田中):私たちSOMPOシステムズは、主に損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)の損害保険に関するシステムを構築・運用しています。「『安心・安全・健康』のテーマパークのキャストとして、プロアクティブな『企画・提案』と高い『IT技術力』『ITソリューション力』で、お客さまにとって快適なパーク体験を実現・追求する」をパーパスに、一人ひとりが“キャスト”として最高品質のITサービスを目指しています。
酒井真弓(以下、酒井):キャストというと楽しそうですが、実際に担当されているのは失敗が許されない領域です。コーポレートサイトには田中さんの署名入りで、「ITサービスマネジメント基本方針」が掲げられています。運用管理やITサービスの品質をすごく大事にされている印象を受けました。
田中:システムは、機能を実装することも大事ですが、リリース後に安定的にサービスをし続けることも重要です。それを全社で意識しながらやっていこうということで、「ITサービスマネジメント基本方針」を策定しました。
理想は、企画・構築段階から運用を考え、抜かりなく実践することですが、実際には、運用フェーズになってから「おや?」といったことがあります。たとえば、システム障害からのリカバリの準備が十分にできていなかったり、準備はしていたけれど、当時から少し環境が変わってしまい、いざというときに想定通りにいかなかったり……。そんなときに、日頃の備えが大事だなと痛感します。
酒井:一度準備したとしても、環境の変化に応じて柔軟に変えていかないと、ITサービスマネジメントはうまくいかないということですね。
田中:その通りです。この2、3年でパブリッククラウドが浸透してきましたし、当然、オンプレミス環境の運用ノウハウでは対応できないことも増えています。
こちらが、損保ジャパンのIT企画部と合意している「サービスレベル目標」です。目標値をきちんと達成できているか、毎月「〇」「△」「✕」で評価しています。
基幹システムは、みんなが「100%動いて当たり前」と思っていますよね。でも、1秒たりとも止めないって、投資コスト含めて実はすごく大変なことなのです。もちろん100点を目指したいけれど、完璧を求め過ぎると苦しくなるので、稼働率99.95%以上を目標にしています。これなら、たとえば停止時間が1時間以内であればクリアできるので、何かあっても「迅速に復旧しよう」とすぐに切り替えて行動できます。