どのような視点で分解するか?
考慮漏れを防ぐのが分解の目的です。ひとつの視点で分解するのではなく、いろいろな切り口で切って、眺めなおしてみることで、新たな側面に気づくこともあります。
対になる言葉で分解する
漏れのない切り口は、慣れるまでなかなか見つけにくいものです。最初は、対になる言葉を思い浮かべてみましょう。
「上・下」「左・右」「剛・柔」「質・量」「長・短」「緩・急」
そして、汎用的な対語を、より適切な表現に変えます。たとえば、「セキュリティ対策を考える」といったテーマに対して、
汎用的な切り口 (対になる言葉) |
応用 (話の内容にあわせて、表現を変える) |
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上・下 | 上流のゲートウェイで対策は、~ 下流にあたる各PCで対策は、~ |
上・下 (高・低) |
ギャランティタイプの施策では、~ (念には念を入れた施策では~) ベストエフォータイプでの施策は、~ (必要最低限の施策では~) |
左・右 | 革新的な技術を採用する場合は、~ 保守的な技術を採用する場合は、~ |
長・短 | 長期的な視点で検討すると、~ 短期的な視点で検討すると、~ |
剛・柔 | H/W面での対策は、~ S/W面での対策は、~ または、 厳しいセキュリティ対策を採用した場合、~ 緩やかなセキュリティ対策を採用した場合、~ |
質・量 | セキュリティ被害の質に焦点をあてて考えると、~ (定性的な観点では~) セキュリティ被害の量に焦点をあてて考えると、~ (定量的な観点では~) |
など、いろいろな切り口のバリエーションを考えることができます。そもそも対となる言葉自体が、漏れのないものなので、それベースに表現を変えて応用すると、「漏れがない場合分け」を考えることができます。
相手に合わせた切り口を用意する
慣れてきたら、3つ目の切り口も考えてみます。
「上・中・下」、「左・中庸・右」 「H/W・S/W・P/W」
3つ目は、なかなか浮かんでこないものですが、あえて3つ目を自分に課して、深く考える時間を作ってみましょう。
Peopleware(P/W:ピープルウェア)は日本あまりでは一般的ではないかもしれませんが、ヒューマンウェアや、ユースウェアをいう表現に置き換えてもよいでしょう。Peoplewareについて詳しくは、トム・デマルコの著書『ピープルウエア - ヤル気こそプロジェクト成功の鍵』を参照してください。
切り口は、自分が考えやすいように切るのも大切なことですが、後で聞き手に伝えることを考え、相手にとっても、漏れがないと納得できるような切り口、さらには、相手にも興味をもってもらえるような感度の良い切り口を意識してみましょう。りんごを縦2つに切るのと、横に切るのとでは、全く切り口の様子が異なります。また、芯を通らないような切り方をすれば、ジャガイモだかなんだかわからない、つまらない切り口になっていまいます。