エージェント型AIはITインフラ運用をどう変えるのか?ガートナーが“6つの活用ケース”で示す将来図
「守り」の情シスから「AIファースト」のイノベーターへ変革を
2025年に一大ブームを巻き起こしたエージェンティックAI。ITオペレーションの分野でも有望なユースケースが見えてきた。2025年12月に3日間を通して行われた「ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション&クラウド戦略コンファレンス」の講演で紹介された6つのユースケースから、AI時代のITオペレーションの未来を探る。
「エージェント型AI」と「AIエージェント」の違い
2025年5月、ガートナーは「AIエージェント(AI Agent)」と「エージェント型AI(Agentic AI)」の相違について公式見解を発表した。その見解によれば、エージェント型AIはAIエージェントよりも包括的な概念であり、これからも能力の進化を続けていくスペクトラムと捉えられている。Gartnerのキャメロン・ハイト氏は「I&Oにおけるエージェント型AIの新たなユースケース」と題した講演中、エージェント型AIはスペクトラムの上位に位置し、「AIソリューションの開発手法で、2つ以上のAI機能を実装したソフトウェアを利用しているものが該当する」と解説した。
実際のところ、ベンダーが提供するソリューションの中には、エージェント型AIに似てはいるものの、実際にはAI機能が実装されていないものもある。ユーザー企業がテクノロジーを採用するときには、真のエージェント型AIか否かを見極めていくことが必要になると指摘した。
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続いてハイト氏は、エージェント型AIのアーキテクチャーパターンを4つ紹介した。1つ目が単独エージェントだ。これは1つのエージェントがすべてのタスクを実行するため、シンプルに実装できる反面、複雑な環境への実装は適していない。2つ目は、エージェント間でタスクを引き継げるようにしたアーキテクチャーである。これはタスクを複数のエージェントで分担して実行するもので、単独エージェントよりも拡張性が高い一方、複数のエージェント運用のコーディネーションが必要になる。3つ目が役割ベースのエージェントで、それぞれでタスクの実行範囲が規定されている。そして4つ目がマルチエージェントのモジュール型と呼ばれるものだ。
ハイト氏によれば、このマルチエージェントのモジュール型には2つ目と3つ目のアーキテクチャーパターンに似ているように見えて、複数のエージェントの挙動を調整するコーディネーターエージェントが存在する点で異なるという。このパターンの場合、非常に複雑なタスクやワークフローの実行が可能だが、複雑性の高さゆえに制御が難しいという特徴をもつ。
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I&O分野における6つのユースケース
このように、アーキテクチャーパターンを理解することは、実際のユースケースの検証に役立つ。ハイト氏はI&O(ITインフラおよびオペレーション)分野に特化した6つのユースケースを紹介した。
- ITオペレーションのナレッジアシスタント
- ログ監視とアラートエンリッチメント
- 自動インシデントルーティング
- インテリジェント異常検知
- 予知保全
- スクリプト生成と自動化
このうち、1、4、6のユースケースがユーザー企業を対象に実施した調査結果で回答の多かったもので、2、3、5はユーザー企業とのディスカッションから今後ニーズが高まることになりそうだと判断したものだという。それぞれの詳細を見ていく。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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