レガシーなシステムからの脱却とモダナイゼーションへの道
コロナ禍から、ようやく日常生活が戻りつつある。しかし、社会はそれ以前に戻ることはないようだ。ヤフーでは在宅ワークが基本となるなど、新しい生活様式へとシフトしている。また、直近ではLLM(大規模言語モデル:Large Language Models)が話題になるなど、テクノロジーの変遷は常にめまぐるしい。
ヤフーの吉岡氏は講演冒頭、同社がモダナイゼーションに取り組む背景から説明を始めた。VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)と呼ばれる時代において、これからも事業危機に対応できるよう、迅速にビジネスを進めていく必要がある。そのためには変化に強い開発環境が欠かせない。また改善サイクルをスピーディに回していくためには、データドリブンなサービス開発が重要となる。
レガシーからの脱却にも取り組む必要がある。ヤフーはサービス開始から27年が過ぎ、2017年からモダナイゼーションに取り組んでいるものの、いまだレガシーな技術やドキュメントも残っている。レガシーをアップデートし、常に新しい環境を追い続けられる体制を作ることも欠かせない。
開発環境をモダナイゼーションするそもそもの目的は「事業成長への貢献」だ。吉岡氏は「コストを最小限に抑えながら案件の消化速度を高め、事業の成長に貢献し、利益の最大化を目指すことをゴールとして取り組みを進めて来ました」と説明する。
過去にも似たような取り組みはあった。たとえば、2013年にはアプリケーションライフサイクルマネジメントを目的として、パッケージのクリアオーナーシップや最新OSで動作することなどは実現できた。
しかし「継続がうまくいきませんでした」と吉岡氏は語る。背景には「他責のマインド」「古い標準による開発効率の低下」「負債が増える習慣」などがあるとして、今回のモダナイゼーションではこうしたテクノロジー以外のレガシー要因にも切り込むことにしたという。