SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

EnterpriseZine Press

ブンデスリーガ11連覇中のFCバイエルン・ミュンヘンが来日!名門クラブを下支えるSAP製品とは?

 SAPジャパンは7月26日、ドイツ ブンデスリーガに加盟するFCバイエルン・ミュンヘンの来日にともない、活用事例に関するラウンドテーブルを開催した。FCバイエルン・ミュンヘンは1900年に創立し、ブンデスリーガでは11連覇中の強豪クラブである。SAPは、2014年より同クラブの公式パートナーとしてデジタル面で支えているという。

世界中にファンをもつメディア戦略

 ラウンドテーブルには、FCバイエルン・ミュンヘンでメディア・コミュニケーション ダイレクターを務めるシュテファン・メネリッヒ氏が登壇。メディアとの関係性およびブランド認知の向上における、SAPの活用事例を紹介した。メネリッヒ氏は「30年前は私たちのことを知らなかった都市でも知られるようになり、日本を含めて世界中で有名になった」と振り返る。

画像を説明するテキストなくても可
FCバイエルン・ミュンヘン メディア・コミュニケーション ダイレクター

シュテファン・メネリッヒ氏

 同クラブでは1998年にウェブサイトを開設後、YouTubeをはじめソーシャルメディアでの情報発信を開始。2012年にはSAPの支援を受けてCRMを導入した。2020年にはソーシャルメディアのフォロワーが1億人を突破。その背景として、メネリッヒ氏は2016年に自社独自のデータセンターにインフラを構築したことを挙げる。「サプライヤーに頼ることなく、独自のデジタル基盤を手に入れることができた。2018年にはデジタル化を担う『メディアラボ』も設立。今では欧州の他のサッカークラブのデジタル化の手伝いもできるほどになった」と話した。

画像を説明するテキストなくても可
クリックすると拡大します

 続けてメネリッヒ氏は、コミュニケーション担当に求められる役割として次の3つを挙げた。1つ目はコンテンツ制作やマーケティングといった「スキル」、2つ目はチームや選手のコンテンツを正しく管理する「権利とアクセス」、そして3つ目は「テック」だと話す。同クラブでは、バックエンドシステムに「SAP S/4HANA」を導入しており、それをベースに各システムやアプリケーションと連携しているという。メネリッヒ氏は「サッカークラブにおいてコミュニケーション部門がテクノロジーの知識を持つことは重要で、サードパーティーに依存してはいけない。そのため、強力なパートナーであるSAPの存在が必要だ」と強調した。

画像を説明するテキストなくても可
クリックすると拡大します

ファンデータを管理する52のシステムをSAPに統合

 次に、SAP グローバルスポンサーシップ シニアダイレクターのマティアス・ウェーバー氏が登壇。FCバイエルン・ミュンヘンへの具体的な支援内容として、「ファン&メンバー」「従業員」「選手&コーチ」「ビジネス&マネジメント」の4分野を挙げた。

画像を説明するテキストなくても可
クリックすると拡大します

 ファン&メンバーについて、ウェーバー氏はプロジェクトが始動した2014年当時は、ファンデータを管理するシステムが52もあったと振り返る。これらのシステムをSAPに統合し、800万件以上のファンに関するレコードをSAP S/4HANAで管理しているという。加えて、オムニチャネル・カスタマー・エンゲージメント・プラットフォーム「SAP Emarsys Customer Engagement」を活用し、よりパーソナライズしたキャンペーンが展開できているとした。

画像を説明するテキストなくても可

SAP グローバルスポンサーシップ シニアダイレクター 

マティアス・ウェーバー氏

 FCバイエルン・ミュンヘンは、本拠地のドイツ・ミュンヘンだけでなく、中国・上海やタイ・バンコクにもオフィスを構えており、従業員数は1,000人以上にのぼる。そうした従業員を管理し、統一した人事プロセスのデジタル化を支えるツールとして「SAP SuccessFactors HXM Suite」を導入しているという。コーチやグリーンキーパーといった非オフィスワーカー向けには「SAP SuccessFactors Mobileアプリ」を使用することで、スマートフォンから個人データにアクセスできるようになり、業務効率化につながっているとした。

 選手向けには、スポーツチーム管理ソフトウェアの「SAP Sports One」を活用。FCバイエルン・ミュンヘンは、2015年の提供開始時、共同イノベーションパートナーの1社だったという。現在は、18ヵ国80以上のクラブや連盟が使用しており、日本国内チームでも使われている。

 ビジネス&マネジメントを支えるツールとしてSAP S/4HANAを挙げた。同クラブでは、マーチャンダイジングの注文履行や財務の統制などで使っているという。加えて「SAP Business Technology Platform(BTP)」も併用。たとえば、統合アプリケーションの「SAP Integration Suite」を活用して、ファンシステムやPOSなどからリアルタイムでデータをとることでスタジアムにいる人数をすぐに知ることができるという。

FCバイエルン・ミュンヘンが独自ITインフラをもつ理由

 なおメネリッヒ氏によると、FCバイエルン・ミュンヘンのIT部門には約60人おり、デジタルイノベーションプラットフォームやeスポーツを手掛けるデジタル部門には約40人いるそうだ。この2部門が連携して独自のITインフラを管理しているとした。メネリッヒ氏は「私たちはテクノロジーカンパニーではないが、独自のインフラをもつことで、自分たちで責任を持つことができる」と話す。

 ただ、同クラブが単体でしているのではなく、あくまでSAPと一緒にしていると主張する。というのも、2016年以前は外部パートナーに任せっきりの状態だったそうで、コストはかかるものの、何が起こっているのか把握できていなかったそうだ。そこからサプライヤー依存をやめて柔軟性をもつことを重視し、独自のITインフラを持つことにしたと説明した。メネリッヒ氏は「(何か問題が起こった際には)自社のスタッフに電話して聞くことができる。柔軟性が高くなったことは間違いない。そのためには、SAPのようにソフトウェアを提供して何ができるのかを教えてくれるパートナーが必要だ」と話す。

 また、欧州のクラブチームでは独自のIT組織を持つチームが増えているのだという。独自のプラットフォームという観点ではFCバイエルン・ミュンヘンは先行しているそうだが、他チームも様々なコンテンツを展開している。メネリッヒ氏は「フィールドの中だけでなく、外でも“競争”だと思う」と述べて締めくくった。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
EnterpriseZine Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)

EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/18184 2023/08/03 09:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング