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グループ24社の経営管理統合DBを3名で内製化──メイコーがノーコードで挑む、脱Excelの会計DX

ウイングアーク1st主催「updataNOW23」イベントレポート:メイコー

 グループ企業における経営管理システムの統合は一筋縄ではいかず、予算編成から連結管理まで仕組みを統一するだけでも越えるべきハードルは高い。ツールやデータベースの選定はもちろん、何よりもExcelに依存している状況からの脱却は“会計DX”において欠かせないだろう。2023年10月31日から3日間にわたり開催された、ウイングアーク1st主催イベント「updataNOW23」ではメイコーが登壇。『グループ24社の経営管理統合DBを3名で完全内製化』と題して、Dr.SumとMotionBoardによる拠点別・部別収支管理、予算・実績管理を自動化した様子が語られた。

メイコーが挑んだ、グループ24社の「会計DX」

 メイコーは、プリント基板などの設計や製造販売を営んでいる神奈川県綾瀬市に本社を置くプライム企業。国内外にグループ企業を抱えている中、グループ経営管理の刷新はもちろん、“データ”を打ち手とするためにも会計DXを進めている。同社では、会計DXの在り方として、手作業による集計をレベル1としたとき、データベースの統合をレベル3、その後クラウド化などを経て、DX/AIの活用をレベル5に位置付けた形で推進。その第1段階として、個人や各部、各本部のデジタル化、データベース化により仕組みの改善を経てグループ横串の会計DXを進めてきた。

 会計DXは、データ分析のDr.SumとBIダッシュボードのMotionBoardを基盤として、グループ全社におけるPLの統一・連結非連結予実管理・リスク管理などの運用を自動化。その他にも、AIの活用などの取り組みも推進しているという。

 同社 執行役員 経理本部 本部長の本多正行氏は、「まずはルール仕組みづくりが重要であり、会計処理のルールなどの整備から着手しました」と述べる。

メイコー 執行役員 経理本部 本部長 本多正行氏
メイコー 執行役員 経理本部 本部長 本多正行氏

 たとえば、有価物の売却があった場合は、売上のプラス・変動費のマイナス・営業外収益のプラスと会計処理上では選択できるため、科目処理ルールが統一できていないと、データ連結をしたときに必ずしも横並びで管理できない。だからこそ、グループ統一の会計ルールの整備から着手。その上で、会計基盤としてシステム構築を進めていき、統合データベースの構築へと移っていく。

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 では、具体的に会計ルールと仕組みをどのように整備してきたのか。ここで重要になるのが“勘定科目のルール作り”だ。メイコーでは、勘定科目規定を以前から設けていた一方、普段から閲覧されることは少なく、仕訳入力するたびに規定が参照される訳でもない。そこで国内・海外拠点の経理担当者を集めてオンラインで開催するグループ経理会議を月に1回実施している。「2016年から累計100回以上は実施し、会計ルールを統一・維持してきました」と本多氏。さらに定期的な点検も行っており、各拠点がどのような勘定科目で処理されているのか適用項目を分類することで確認・修正しているという。

 「その上で重要となるのがシステム構築です」と話すのは、メイコー 経理本部 係長の山本真子氏だ。

メイコー 経理本部 係長 山本真子氏
メイコー 経理本部 係長 山本真子氏

 同社では勘定科目を大・中・小・連結科目・国内科目の5階層で管理しており、国内会計システムのOPEN21に連結科目を持たせ、連結会計システムのDIVAと連携できるよう下図のように設定。こうすることで、伝票データ1行1行に5階層の科目が入り、グループ各社横並びでの分析・集計・切替を可能としている。

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 また、国内グループ会社では、自由に国内勘定科目を追加できるように、DataSpiderのOEM製品である「Dr.Sum Connect」により、毎朝7時半に自動出力されたOPEN21の実績とマスタの差分を抽出し、担当者への自動通知を行うことでマスタ漏れを防止している。

 「その上で着手したのが、Excelによる手作業集計のデータベース化です」と本多氏。これまで同社の経理担当者の手元には半期だけで約2,500のExcelファイルが集められていた。膨大な数だけにどこから何を受け取り、何を作成するためにどう処理をしているのかをリストアップするところから着手。グループ24社から集計されたExcelファイルでデータを収集すると、“ExcelからExcelを作る”ような煩雑な業務が生まれており、受領後に差し替えも発生、ファイル管理だけでも多くの工数をかけている状況が浮かび上がった。

 そこで、メイコーグループの24社において予実管理データの回収をExcelデータ収集システムのiFUSIONで実施。連携対象14社はDIVAやOPEN21から、非連結対象10社はiFUSIONから実績データをDr.Sumに取り込み、日次・月次での予実/実実管理をグループ統一科目で実現した。

 同社は、5年間で会計基盤(システム)の総入れ替えを進め、DIVA以外はすべて刷新が完了。現在、国内グループ7社は、国内会計・経費精算・債権管理・連結実績・連結予算のグループ横並びの管理を実現している。

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 また、Excelからデータベース化したときの違いと効果について、「ExcelからExcelを作成する場合、膨大な“Excelの手作業”が発生するだけでなく、必ず間違いが起きるのです」と山本氏。Dr.Sum導入後は、iFUSIONからDr.Sumへ自動取り込みすることでミスをなくし、回収・編集で疲れ果てていた時間を分析作業・異常値確認にあてることで、生産性と精度の向上につなげている。

 経理担当者の業務が作表作業からデータ分析作業へと変わり、手作業で6時間かけていた作業が30分に短縮されるなど、多岐にわたる波及効果が生まれていると説明する。

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 「まさに武士が刀で戦っていた時代から鉄砲隊による戦いに様変わりしたような状況。これまで畳三畳ほどのExcelを見るためだけに大型モニターを2台横並びにして使っていましたが、今ではそれらのモニターは生産性向上のために利用できるようになりました」と本多氏も振り返る。

 たとえば、列に科目、横に年月が並んでいる年度毎のExcelにおいて勘定科目が増えた場合、年度毎の勘定科目数は異なるため、Excelで横並びにすることは大変な作業であったが、Dr.Sumでは自動で横並びになるため作業自体が不要だ。「“Excelの属人作業”が必要だった世界から脱却する必要があります」と本多氏は語る。

なぜ非IT部門が主導できた? AI活用へと着手するまでに躍進

 Dr.Sumに蓄積されたデータをWebやExcel上でレポートできる「Dr.Sum Datalizer」を利用することで、各ユーザーが自身でデータ分析を進められるようになった点も特長的だという。画面レイアウトのカスタマイズ、抽出条件の追加作成などをユーザーが設定でき、分析したい形で“お気に入り”に保存、いつでも最新情報のデータを呼び出せるようにしている。

 会計システムや経費精算システム、回収した予算データなどをDr.Sum Connectで変換、ノーコードでの処理が可能であり、必要な処理をアイコンからアイコンへとドラック&ドロップするだけで処理プログラムを開発可能だ。複雑な処理をしたいという場合であっても、SQLによるコマンドも叩ける。「IT知識ゼロでもここまでできるのが、Dr.Sum Connectの凄いところです」と強調。最近ではChatGPTなども利用し、SQL文を生成していると山本氏は話す。

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 同社では2023年8月時点、会計データや予算データなど、各システムから寄せられるデータを連結することでMotionboardで109コンテンツ、Dr.Sum Datalizerで340テーブルを完成させている。「Dr.Sum Datalizerで形を変えながら動的に分析するユーザー層とMotionBoardでビジュアル的にデータ分析するユーザー層の2パターンで柔軟なデータ分析を実現しています。たとえば、管理可能費がどこまで到達しているのか、黄色や赤色のアラート情報で表示したりメールで通知したりするなど、様々な工夫を凝らしています」と山本氏は話す。

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 Dr.SumやMotionBoardを使いこなしている同社が今取り組んでいるのがリスク管理であり、2023年からはリスク分析と牽制活動に力を入れているという。リスク管理と言えば、JSOX法への順守にともない内部監査のため「CAAT(Computer Assisted Audit Techniques)」が流行したことを覚えている方も少なくないだろう。とはいえ、ツール利用自体のハードルが高く、担当者も変わっていく中で使われなくなってきているのが現状だ。だからこそ、メイコーでもAIを含めた不正検知に挑んでおり、リスク管理ボードを作成している。これは、母集団から異常値・トレンド・整合性などの視点からデータを抽出し、不正の兆候となるデータの有無を確認、リスクシナリオベースでの分析を行うというものだ。たとえば、23時以降や休日に伝票が入れられていたり、サラミ法(検知できない少量値で不正を繰り返して金銭などを窃取する手法)を行っていたり、時間の経過で損害が大きくなるような不正や誤謬の検知で初期消火に努めているという。

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 実際に講演では、ChatGPTにて作成したデモ用のデータを使用したMotionBoardを投影し、リスク分析の方法、経費精算システムの不正チェックなどについて説明が行われた。ボードの見せ方・構造には、工夫を凝らし「森=>木=>葉」のように俯瞰的に見るボード・詳細を見るボードというように、発生源へのドリルダウンの遷移を意識しながらボードを作成。さらにデータを「気づかせる仕組み」として、アラート・点滅・メール送信なども活用することで利用者が変化を見逃さない仕組みを構築している。

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実際の「Dr.Sum」活用の様子は、アーカイブ配信で配信中!

メイコーにおける会計DXを強力に支えている「Dr.Sum」「Motion Board」の活用の様子について、講演当日に行われた詳細なデモの様子をアーカイブ配信でご覧いただけます。2024年2月末までの限定配信となっておりますので、見逃しのないようお早めにご視聴ください。

 また、注目を集めている生成AIについては、海外拠点の仕訳を翻訳する際に利用する他、伝票データをベンフォード分析にかけることで異常値を検出、Dr.Sumで該当伝票を参照するなどの活用もしている。

 最後に、「Dr.Sumは価格体系がリーズナブルであり、グループ24社でグループライセンスを利用でき、コスト圧縮効果がありました」と本多氏。

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 「プログラミングのようなITスキルが必要ないことが最も重要であり、情報システム部門の関与が少なくて済むところもメリット。これまでいろいろなシステムを検討してきましたが、Dr.Sumでなければメイコーの会計DXはここまで進んでいないと思います」と山本氏も強調する。IT知識がなくても、会計DXを進められることは大きな優位性になると強調して講演を締めくくった。

当日は、10月31日ということで、ハロウィン仕様で登壇した2人。カチューシャを身に着けて登壇したことで会場を沸かせた。今後、メイコーのDX推進に注目したくなる40分間の講演となった。
当日は、10月31日ということで、ハロウィン仕様で登壇した2人。カチューシャを身に着けて登壇したことで会場を沸かせた。今後、メイコーのDX推進に注目したくなる40分間の講演となった。

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