Akamai Technologies(Akamai)は、メディアおよびエンターテインメント(以下、M&E)業界におけるクラウドテクノロジー採用の背景にあるトレンドを探る新しい調査を発表した。同調査では、世界中のM&E企業225名からの回答を集計。調査対象者の大半は組織内でストリーミングアーキテクチャやクラウドワークフローに影響を与える、またはそれらに対する最終的な意思決定権限をもっている人々だという。
急速に変化するAPJ(アジア太平洋・日本)のM&E業界では、顧客からの期待がクラウドの採用を促進
APJのM&E業界はクラウドを早期に導入しており、回答者の93%以上がクラウドベースのテクノロジーによって成功していると回答。また、自社でのクラウドへの移行が予想よりも早く進行していると答えたのは21%、予想よりもはるかに早く進行していると答えたのは54%となっている。調査対象となったAPJのM&E企業の75%が、顧客はダウンタイム、バッファリング、再生エラーを嫌がる傾向にあると報告しており、クラウド移行が予想より早く進行しているのはこうした顧客の期待によって促進されていると同社はみている。
APJのM&E企業の46%は、自社の業界が他の業界よりもデジタルトランスフォーメーションのプレッシャーにさらされていることに強く同意しており、この割合は調査を受けたすべての地域の中で最も高くなっている。一方で、今後を見据えた場合、既存のクラウドインフラが将来のM&E業界の成長に対応できるかどうかについては、懸念を抱えていることがわかったという。
APJのM&E業界における最大の懸念事項はビジネスコストとデータの増加
コストの上昇が、APJのM&E企業のクラウド戦略に大きな影響を与えている。回答者のうち77%がコスト面の圧力により従来のクラウドプロバイダーからの移行を検討。一方で、67%は自社でコストを長期的に管理することは困難であり、コスト面の圧力からクラウドプロバイダーの統合を検討していると回答している。
また同調査では、データ量の増大により、クラウドインフラを導入する能力が複雑化するということも強調されている。回答者の40%が今後3年間でデータ量が50%以上増加すると予測しており、67%がデータ量によってデータセンターの導入が複雑化することに同意しているという。
クラウドの主要なユースケース
回答者によると、クラウドサービスの最も一般的なストリーミング・ユース・ケースはストレージであり(60%)、次いでパフォーマンス分析(49%)となっている。APJのM&E企業の44%が配信にクラウドを使用しており、これはすべての地域で最も高い数値だという。また、調査対象となった組織の半数近くが、デジタルコンテンツ保護(DRM/ウォーターマーク)や課金/サブスクリプション管理など、その他の主要機能にもクラウドを使用している。
競争優位性
APJのM&E業界は、顧客体験(CX)の向上と競争優位性の維持を支援してくれるクラウドプロバイダーを求めているとのこと。その61%が、クラウドへの投資によってCXの向上を達成した、またはその向上を期待していると回答している。また60%が、リアルタイムのインサイトを生成してアクセスするための俊敏性の向上を実現した、またはその向上を期待していると回答。回答者の54%は、クラウドによって事業規模のスケーリング能力が向上することを期待しているという。
【関連記事】
・Akamai、クラウド/セキュリティのトレンド予測を発表──AI利用したランサムウェア出現など
・Akamai、「インターネットの現状|年間レビュー」を発表──2023年攻撃動向の変化や進化を解説
・金融サービスへのアプリケーション/API攻撃が65%増加──Akamaiが脅威レポートを発表