生成AI“グレーゾーン”どう乗り越える? 社員6,000名が利用する「セガサミー版GPT」軌跡と構想
社員一丸で生成AI活用を盛り上げた「夏フェス」「冬フェス」

生成AIを業務に活用しようとする動きが急加速した2023年。なかでも、他社に先駆けて組織単位での取り組みを始めていたのがセガサミーグループだ。同グループでは、生成AI活用に向けた取り組みをIT部門がけん引しており、1年で大きな進展を遂げた。どのような取り組みを行ってきたのか、そして今後についてどのような構想を練っているのか。“全社一体”の生成AI活用促進を率いるキーマンに話を訊いた。
他社に先駆けたガイドライン制定、きっかけは現場の声
グループの持ち株会社であるセガサミーホールディングスでは、かねてよりAI活用に取り組んでいたこともあり、2023年2月ごろに生成AIの業務活用に向けた動きが本格化した。舵を取ったのは社内のシステム統括やサポートを担うITソリューション本部だ。2022年末ごろから業務現場からITソリューション本部へ「生成AIを使いたい」という要望が寄せられてきたという。
企業の業務で生成AIを使うためには、知的財産やセキュリティなども考慮しなくてはならない。まずは2023年3月下旬、同部が生成AI活用について社内ガイドラインを発表した。執行役員 ITソリューション本部長 加藤貴治氏は「グループ内で『生成AIをどう使ったらよいか』といった問い合わせもあったため、なるべく早いタイミングでグループ全体に向けたガイドラインを出しました」と話す。

また、実働部隊を率いる同本部 プラットフォーム部 部長 小林透氏は、ガイドラインについて「当時はまだ生成AIがどういうものか計り知れないところがあったので、最低限の注意喚起に近いものでした。目的は『試す分にはいいが、本格的に業務で使うならITソリューション本部に相談する』という意識を浸透させることでした」と補足する。
ガイドラインは3月の社内公表以来、アップデートを続けている。ITソリューション本部 プラットフォーム部 ユーザーサポート課 課長 石森拓郎氏は「アップデートでは細かい定義を盛り込むなどしています。現在は、より現場の業務に沿ったガイドラインを現場の社員と一緒に作成中です」と説明する。
さらに、同年5月中旬にはマイクロソフトを招き、グループ社員向けにChatGPTやOpenAIの概要と動向、社内におけるAzure OpenAI Service環境構築状況などについて説明する特別カンファレンスを開催。1時間半のオンライン配信を、850人ものグループ社員が聴講したという。
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加山 恵美(カヤマ エミ)
EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net
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