サプライチェーンからコネクテッドまで、製造業向けのSnowflakeとは
トヨタ自動車が講演にともない、製造業向けのSnowflakeを管掌しているTim Long氏が登壇。そもそも製造業におけるデータクラウドの価値がどこにあるのか、その特徴を説明した。
今や、どの業界においても命題となっている「DX」、その実現の鍵をデータが握っていると言われて久しい。Snowflakeは、データ活用を支援するために多様な機能追加を行っており、製造業向けに特化したソリューション「AI DATA CLOUD FOR MANUFACTURING」も提供する。では、同ソリューションにはどのような特徴があるのか。Long氏は下記3つを挙げた。
- 多様なデータソースから構造化・非構造化・半構造化など、データ形式を問わずにデータクラウドとして「統一ネームスペース(Unified Namespace)」を提供できる
- Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloudと主要なパブリッククラウド上で稼働でき、他のSnowflakeインスタンスともデータ共有が容易に可能。また、Snowflake Marketplace上のデータも利用でき、複数データソースによるインサイトを得ることができる
- AIを用いたツールを拡充しており、誰もが使いやすい「AIデータクラウド」であること
特に、Snowflake Marketplaceを通じた外部データの利用に加えて、パートナーや顧客との“データ・コラボレーション”を実現することが容易であり、それを実現するためのパートナー企業とのエコシステムも拡充しているという。たとえば、「サプライチェーンの最適化」といった、製造業における重要なユースケースも実現しやすいとLong氏。そこで頻出するユースケースとして「サプライチェーンの最適化」を含め、「スマートファクトリー」「コネクテッド製品」の3つを説明する。
サプライチェーンの最適化
部品や倉庫、水・エネルギー、CO2排出など、様々なところで発生しているデータを活用することで、在庫管理や需要予測、サステナブルな調達、支出分析、サプライヤーのリスク分析などが可能になる。たとえば需要予測では、「企業の多くが販売履歴など、手元にある過去データだけに着目して予測している。しかし、Snowflake Marketplaceで提供されているマクロ経済に関するデータ、競合他社や顧客の感情理解などに役立つデータなどを組み合わせることで、より精度の高い予測が可能になる」とLong氏は話す。
スマートファクトリー
ITとOTの統合をはじめ、サプライヤーとの連携、AIの民主化などに注目が集まっているとして、Cirrus LinkのArlen Nipper氏(MQTT:MQ Telemetry Transportの共同考案者)による事例を紹介。2023年から提供されている「Snowpipe Streaming」というデータロードにかかわる機能を用いることで、OTデータをSnowflakeに取り込んでいるという。
コネクテッド製品
IoT機器をはじめとしたコネクテッド製品が増えている中、Snowflakeにデータを集約することで、消費電力やパフォーマンスを最適化したり、市場投入後の製品管理に生かせたりするとLong氏。「Snowflakeには200兆行のデータをテーブル形式で保持する顧客もいる。われわれには大量のデータを高速処理するためのノウハウがある」と強調する。ここにAIを組み合わせることで、パターンの抽出なども可能になるという。