エンドポイントセキュリティの重要性
プティットCEOは、Kandjiのソリューションについて次のように説明する。
「Kandjiのエンドポイント管理およびセキュリティソリューションは2種類あります。1つは、ユーザーがデバイスを最初に受け取ったときの初期導入段階で、ユーザーが電源を入れてセットアップするオンボーディングソリューション。もう1つはアプリケーションやソフトウェアで、適切なアプリケーションが適切なデバイスにインストールされていることを確認するものです」
具体的には、ユーザーの部門や役割に応じて、必要なアプリケーションや設定を自動的に適用する機能を持つ。たとえば、マーケティング部門の従業員が新しいデバイスを受け取った時に、オンボーディングソリューションを通じて簡単な操作で、マーケティング部門の一員として必要な正しいアプリケーションがデバイスにインストールされていることを確認する。
セキュリティ面では、Kandjiは独自の脅威インテリジェンスチームを持ち、Appleデバイスに対する新しい脅威の発見に注力している。同社のインテリジェンスチームは2024年4月に未検出のマルウェアを発見し、このマルウェアをCuckoo(カッコウ)と名付け情報を公開している。
Kandjiの優位性はエンドポイント管理(Endpoint Management)および損失防止ソリューションの構築にある。プティットCEOは次のように説明する。「これはAppleとKandjiのチームの連携による研究を組み合わせたものです。ユーザー行動、ファイル、プロセスの広範なモデリングを行い、それらをすべて組み合わせて脅威の兆候を見つけ、ユーザーのデバイス上の脅威をリアルタイムで隔離することができます」
さらに、自動化と優れたユーザー体験も特長だ。プティットCEOは、次のように述べる。
「私たちは創業以来、自動化に深く注力し、お客様がより少ない労力とより短い時間で多くのことを達成できるよう支援し、そうでなければ手作業となる多くの作業を自動化しています。私たちが構築するすべてのものは、魅力的なエンドユーザー体験と管理者体験を創出するという視点を通して行われます。」
OktaとKandjiの製品は緊密に統合されており、多くの顧客が両方のソリューションを併用している。
「OktaのアイデンティティをKandjiで管理するデバイスの認証に使用したり、Kandjiがデバイスの安全性情報をOktaに送信したりすることで、よりセキュアな環境をめざします。このような統合により、デバイスに関する我々の情報とユーザーに関するOktaの情報を組み合わせて、すべてが安全であり、ユーザー体験が本当に洗練され統合されていることを確認できます」
日本市場への展開
Kandjiは現在、日本市場への本格参入を検討している。北米や欧州、中東、アフリカでの成功モデルを日本でも再現できると考えており、特に金融業界などでの需要を見込んでいる。
エンタープライズ市場でのApple製品の普及に伴い、エンドポイントセキュリティの重要性が高まっている。Kandjiのソリューションは、この需要に応えるべく、包括的なエンドポイント管理およびセキュリティソリューションを提供している。Oktaとの連携によってさらなる価値を提供することが期待される中、日本のエンタープライズIT市場でのAppleデバイスのさらなる普及と、それに伴うエンドポイントセキュリティ市場の動向に注目が集まっている。
Appleデバイスのエンタープライズ市場での急速な普及と、それに伴うセキュリティニーズの高まりは、Kandjiのようなスペシャライズされたソリューションプロバイダーに大きな機会をもたらしている。OktaのようなCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)による戦略的投資は、単なる資金提供以上の価値を生み出し、両社の製品統合を通じてより強固なセキュリティエコシステムを構築することに貢献している。
今後、日本を含むグローバル市場でのKandjiの展開が進むにつれ、エンタープライズIT環境におけるAppleデバイスの管理とセキュリティのあり方に新たな標準が生まれる可能性がある。エンドポイントセキュリティの重要性が増す中、KandjiとOktaの協業モデルは、他の企業にとっても参考となる事例となるだろう。企業のIT部門は、こうした最新のソリューションと連携を注視し、変化するワークスタイルとセキュリティ要件に適応していく必要がある。