米国SAS Institute(以下、SAS)は、ライフサイエンスおよび医療業界に向け、データ・レポジトリ「SAS Clinical Acceleration Repository」の提供を開始すると発表した。アナリティクス・プラットフォームによって臨床研究データを管理し、様々なデータソースのデータを統合して臨床研究開発を向上させ、薬事申請までの道のりを加速させるとしている。
イノベーションのための臨床データの合理化とセキュリティの確保
同社によれば、セキュアで高度なデータ・レポジトリを確立した上で、様々なソースの臨床データ管理を通した臨床開発をサポートすることと、データ変換で統計分析の準備を整え監督機関への提出書類をまとめることは、グローバル企業が共通して抱える課題だという。
また、データ管理やガバナンスに伴う課題は臨床研究に遅れを生じさせる可能性もあるとしている。SAS Clinical Acceleration Repositoryは、データ管理、レポート、共有およびレビューのための、オープンでクラウドネイティブなモジュール型のコンテンツ・リポジトリを提供すると述べている。
SAS Clinical Acceleration Repositoryの主な特徴
- 直観的なダッシュボードを備えたユーザー・インターフェイスを介して、単一の記録システムで整理されたリサーチ情報や医療データにアクセス
- 本番稼働対応のデータ・レポジトリによって、簡単かつ迅速にデータ検証が可能に。グループと権限、役割と権限、電子署名、バージョン管理、検索、監査証跡等をサポートすると同時に、継続的なモニタリングやデータ保全を可能にしてセキュリティをサポートし、規制およびデータ標準を遵守
- オープンな多言語環境、サードパーティのプログラミング言語やツールの使用に対応し、電子データ収集システム、自社の臨床データ管理システム、ラボや受託研究機関など、様々な拠点やデータソースからのデータを統合
- SAS Viyaに対応するソリューションやテクノロジーにアクセスすることで、効率を高めて薬事申請のスピードアップを可能に
合成データの生成で現実世界でのギャップを解消
医療や臨床研究におけるデータやAIのニーズをサポートしていくために、同社はSAS Data Makerの提供を開始(現在はプライベートプレビュー)したという。
SAS Data Makerの合成データ生成機能により、患者の健康情報などの機密性を損なうことなく、元のトレーニングデータを総計的に示す表形式の合成データを生成することで、データプライバシーやデータの希少性の課題に対処。これにより、ヘルスケア業界やライフサイエンス業界は、信頼できるデータ拡張と生成アルゴリズムをシームレスに1つのツールに統合し、イノベーションを加速できるとしている。
【関連記事】
・Snowflake MarketplaceでSAS Data Makerのプライベート・プレビューが開始
・SAS、米国立衛生研究所のプラットフォームにSAS Viyaを追加 多様な生物医学データセットを分析可能に
・SAS、「信頼できるAI」の課題に2つのサービスで回答 AIの透明性・正確性などガバナンス面を支援