大日本印刷(以下、DNP)は2024年8月28日、個人のアイデンティティ(ID)に関する情報を管理する「分散型ID」に基づくデジタル証明書(以下、VC:Verifiable Credentials)を発行・検証する「DNP分散型ID管理プラットフォーム」の提供を開始すると発表した。
DNPは同プラットフォームで、VCに関わる事業を推進する企業・団体などに、VCの発行・検証システムや、生活者がVCを利用・管理するデジタルアイデンティティウォレット(スマートフォンなどで自分の身元を示す仕組み)など、用途や構築する環境に応じて必要な機能を提供。偽造情報による被害の防止や、提示された情報の検証負荷の低減など、安全・安心なデータ流通が可能になるという。
同プラットフォームの特徴は以下のとおり。
- 国際的な技術仕様に準拠し、国内外のサービスとの連携が可能:世界的に検討されている技術仕様に準拠しているため、国内外でVCを利用できる。なお、DNPは同プラットフォームの開発にあたり、Meeco社と提携。国際間の実証実験やネットワーク構築にもMeeco社と取り組んでいる
- ルールづくりと技術開発の両面から、関連ビジネスの立ち上げを支援:DNPは、国内企業とVC関連の用途開発などの実証実験を実施。これらの取り組みで、VCの発行・検証の要件定義や組織運用体制などのルール策定をサポートしており、分散型IDの社会実装に向けて技術・ノウハウなどを蓄積している
- 職種ごとに必要となる分散型IDの知識が学べるプログラムを提供:同プラットフォームを利用する企業・団体などに、分散型IDに関する教育プログラムを提供。分散型IDの知見を有するIndicioと協業し、分散型IDに関する基礎知識の提供や、経営者層・新規事業開発担当者・システム開発者向けの教育プログラム「Indicioアカデミー」を提供する
DNPは今後の展望として、分散型IDの活用を見込む金融・通信・旅行・自動車・教育などの業界を中心に「DNP分散型ID管理プラットフォーム」を提供し、関連する製品・サービスを含めて2029年度までに累計35億円の売上を目指すとしている。
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