クボタは、New Relicの導入により、世界で約4万ユーザーが利用する農業機械・建設機械のディーラー向けクラウドサービスにおけるシステム障害を未然に防ぐプロアクティブな対応を展開し、サービスの安定稼働を実現したことを発表した。
クボタは、農業機械・建設機械のアフターサービスを支えるディーラーなどに向けたシステムの1つとして、数百万点に及ぶサービス部品の検索・発注を行えるサービス部品カタログシステム「Kubota-PAD」を運用。同システムは約4万ユーザーが利用している。
機能拡張を進める中で、システムの複雑化・データの肥大化が進行し、2022年頃には動作性能の低下やシステム障害が発生していたという。これらのうち、アプリケーションに起因するものはユーザーからの問い合わせによって発覚するケースがほとんどで、また対応においては基盤(Microsoft Azure)の状況は把握できるものの、アプリケーションの状況が把握できないため、障害の発生から検知・対応まで最大で4時間程度の時間を要していたとしている。
クボタでは、このような課題を解決するため、Kubota-PADにオブザーバビリティ導入を検討。クボタが目指す「システム障害に対するプロアクティブな対応」をオブザーバビリティで実現すべきビジョンとして明確に掲げていた点を評価し、New Relicの採用を決定したという。
2023年7月のNew Relic導入後は、Kubota-PADの企画・開発を担うカスタマーソリューション管理部、開発パートナー、インフラの運用管理を担うIT部門の社内外の3者間でNew Relicによる観測結果を共有。その観測結果を起点にしてKubota-PADの障害に3者が協力して対応する体制を確立したという。また、Kubota-PADにおける画面の描画スピードやデータの検索スピード、ユーザーによるサービス部品の発注が正しく行われたかどうかなどの項目をSLO(サービスレベル目標)の指標として設定し、New Relicのダッシュボードを通じて、開発パートナーと週次でチェックする体制を敷き、サービスレベルを計測しているとのことだ。
これらの取り組みにより、システム障害へのプロアクティブな対応が可能になったことで、New Relicの導入から1年の間に重大なシステム障害は発生していないという。性能改善の作業の面でも、システムに影響を与えているプログラムを簡単に特定できるようになり、従来は開発パートナーの工数として12人月程度の工数を要していた特定作業を、3人月程度に削減できたとしている。
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