SBテクノロジー(以下、SBT)は、日本ゼオンとともに、秘密計算技術を活用した企業間での秘匿データ連携によるマテリアルズ・インフォマティクスの実現を目指し、実証実験を開始すると発表した。
同実証実験は、ゼオングループ内の2社のデータで学習したAIモデルの物性予測性能の向上が確認できたことを受け、このAIモデルへの秘密計算技術の適用を検証するもの。目的としては、異なる企業がお互いのデータを秘匿化したまま共有し、かつ高い予測精度を保ったAIの実現だという。
秘匿化された物性予測AIシステムは、ゴムの物性予測AI処理を秘匿化するTEEと、Webシステムを利用顧客別に分離する環境の2つから構成。同実証実験では、物性予測AIを秘匿化して学習データを提供者以外にアクセスさせず、AIの学習にのみ用いるという。推論のクエリと結果は、推論利用者がWebを介してのみ確認できる環境の実現を目指すとしている。SBTはシステム全体のアーキテクチャ設計およびTEEを含むインフラ構築を担当し、ゼオンはゴム業界の専門知識を必要とするアプリケーション開発を担当。同実証実験の期間は、2024年12月末までの予定だという。
【関連記事】
・三井物産とNTT Com、「LCA Plus」とCatena-Xの秘匿性が担保されたデータ連携を実証
・NTTデータ、金融機関の耐量子計算機暗号移行を支援するコンサルティングサービス開始
・NICTら3者、耐量子計算機暗号と現行暗号双方に対応可能なICカードシステムを開発