SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Enterprise IT Women's Forum

2025年1月31日(金)17:00~20:30 ホテル雅叙園東京にて開催

Security Online Day 2025 春の陣

2025年3月18日(火)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

AI事件簿 ~思わぬトラップとその対策~

カナダ大手航空会社が生成AIの“でたらめ回答”で敗訴……ハルシネーションを抑える4つの技術的施策とは

【file.02】ハルシネーション:“AIの誤り”の責任は誰のもの?

ハルシネーションのリスクを抑える4つの技術的施策

 ここからはハルシネーションへの具体的な対策を検討していきましょう。これまでの議論をまとめると、ハルシネーションへの完全な解決策が存在しない場合には、多角的な視点から直接的・間接的な施策を組み合わせ、リスクを効果的にコントロールすることが重要といえます。まずは技術的観点から具体策を考えていきます。

技術的な対策

1. 公開評価などを利用したLLMの選定

 そもそもLLMを選択する段階で、目的に合わせて品質の高いモデルを選択する必要があります。LLMの日本語能力を比較できるサイト「Nejumi LLMリーダーボード」などの公開評価システムを参照し、品質の高いモデルを選定しましょう。

2. RAGの活用

 RAG(Retrieval-Augmented Generation)は検索拡張生成とよばれる技術で、ハルシネーションなどの事実の誤りを減らし、LLMの品質を向上させる手法として注目されています。多くのケースでは、下図のように埋め込みモデルを利用してユーザークエリを埋め込み、自社の資料などを蓄積した外部情報データベースから関連する情報を検索します。そして、ユーザーの質問と外部情報データベースから取得された情報をLLMに入力することで、統合された一つの回答を出力し、正確な回答を実現させることができます。

【画像クリックで拡大します】
3. 開発・運用時のテスト

 RAGは一般的にハルシネーション抑制の有効性も認められ、多くの企業が活用する手法ではありますが、外部情報データベースやクエリ発行の過程には事実の誤りが残る可能性が依然として存在します。そこで、開発時に自社ルールに基づいた内容の正確性を問うような「正常系テスト」や、競合他社の情報などの回答してはならない内容を問うなどの「異常系テスト」を、検証ツールなどを用いて実行します。リスクが発見された場合には、モデルの再選択、RAGからの事実取得の改善、システムプロンプトの改善などの対応を行う必要があるでしょう。

4. ガードレール機能の適用

 AIは入力に対して出力を推論する技術であることから、極端にいえば、新しい入力に対してどういった出力が出るかは予測できません。生成AIは入力値が自然言語であるため、質問(入力)の意図が同じでも、言葉の選び方や“てにをは”などの文法、カタカナと平仮名の選択によって回答(出力)が変わる可能性があります。言い換えると、生成AIのリスクは質的にも量的にも無限大になるということです。そのため、自社のサービスやアプリケーションを一定のリスク評価で改善したその先も継続的な検証が必須です。具体的には、ガードレールと呼ばれるリスク検知機能やモニタリング環境を構築していく必要があります。

次のページ
技術的対策だけでは不十分?重要な3つの非技術的ポイント

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
AI事件簿 ~思わぬトラップとその対策~連載記事一覧
この記事の著者

平田 泰一(ヒラタ ヤスカズ)

Robust Intelligence Country Manager, Cisco Business Development Managerを務める。Accenture, Deloitte, Akamai, VMware, DataRobotなどを経て、デジタル戦略・組織構築・ガバナンス策定・セキ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/21105 2025/01/20 08:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング