重工業分野では大多数の日本企業がIFSを利用中
これまで日本の重工業や防衛産業では、伝統的に国内のベンダーやSI(システムインテグレーター)を好む傾向が強いとされてきた。外資であるIFSは、この領域でどう顧客との関係を築いていくのか。
オイッシ氏は、「IFSはこれまで、NECと約28年、つまりほぼ30年にわたる深い関係を築いてきた。また、IBMの日本法人(日本アイ・ビー・エム)などの準国内プロバイダーとも協力している」と話す。また、SI企業との関係についても「グローバルのSIだけでなく、各国・地域におけるSIとのネットワーク構築を大切にしている」とした。

【左】IFS アジア太平洋・日本、中東・アフリカ統括 プレジデント ハンネス・リーベ氏
日本での導入実績については具体的な企業名は出せないものの、重工業分野では大多数の企業が既にIFSのユーザーであることを明かした。特に、過去2〜3年で一気に顧客の拡大が進んだという。「我々の目標は単にナンバーワンであることだけでなく、業界のすべての企業にIFSのソリューションを採用していただくことだ」とオイッシ氏は意気込む。
西側の防衛産業から大きな信頼、日本でも導入進む
防衛産業において大きなシェアを占めていることは、IFSの特筆すべき点の一つだろう。特に軍などの防衛機関においては、国際情勢の緊張が高まる中で、同盟国とのシステム連携や近代化がますます重要となっている。
IFSは米国海軍やロッキード・マーチンなどを主要顧客に持つ、いわゆる“西側”にとっては重要なプロバイダーだ。こうした実績は日本でも認知されており、ここ数年で関心を集めつつあるという。
国内のある大手防衛機器メーカーでは、航空機や艦船、その他のシステムや基盤の整備にIFSが利用されているとオイッシ氏。そこで製造された航空機などを防衛機関が購入した場合、その後のメンテナンスでもメーカーのサービスを受けることになるため、既にIFSは防衛産業全体のサプライチェーンを支える存在として深く入り込んでいることになる。ここで実績を着実に積み上げることが、やがては大きな信頼につながっていくだろう。