SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

EnterpriseZine Special Webinar powered by HENNGE

2025年3月25日(火) オンライン開催

Security Online Day 2025 春の陣

2025年3月18日(火)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

週刊DBオンライン 谷川耕一

Oracleが富士通やNRIなどと進めるソブリンクラウド、成否の鍵は“日本国内での運用体制”が握る

ジャパンオペレーションセンターの役割とは

Oracleは欧州だけでなく、日本でも積極的な姿勢をみせる

 ソブリンクラウドのニーズが先行する欧州において、Amazon Web Services(AWS)は2025年末までに「AWS European Sovereign Cloud」をリリースする計画を発表しており、ドイツで最初のソブリンクラウドのリージョンを立ち上げる予定だ。他にもドイツではT-SystemsとGoogleが提携し、Google Cloudを活用したソブリンクラウドを提供している。フランスでは、Microsoft Azureによるソブリンクラウドも提供されている状況だ。

 またOracleは他社に先駆けて、2023年6月にEU Sovereign Cloudを開設、欧州全域の組織がデータプライバシーやデータ主権に関する要件をより細かく管理できるようにした。このサービスは完全にEU域内にあり、EUを拠点とするスタッフによりサポートされ、EUに設立された個別の法人により運営されている(ドイツのフランクフルト、スペインのマドリードにソブリンクラウドのリージョンが設けられている)。

 なおEU Sovereign Cloudは、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)のパブリッククラウドリージョンと同じサービス、機能、価格、サポート、およびSLAを提供するもので、データレジデンシー、セキュリティ、プライバシー、コンプライアンスのための包括的なポリシーとガバナンスを実装しているという。ソブリンクラウドについては、Oracleが他ベンダーよりも積極的に取り組んでいるようだ。

 既に日本でも、ソブリンクラウドにかかわる具体的な取り組みが始まっている。野村総合研究所(NRI)は、自社の東京および大阪のデータセンターに「Oracle Alloy」を導入し、サービス基盤を構築。2024年2月に東京、同年12月に大阪で運用を開始し、災害復旧(DR)対策を強化することで、ソブリンクラウドの要求にも応えられるようにしていく。

 NTTデータもソブリンクラウド市場への参入を発表している他、日立やNECはソブリンクラウドの情報を発信するWebサイトを作成しているものの、まだ具体的な施策を発表するには至っていない。とはいえ国内ベンダーの多くがOracle Alloyを活用し、ソブリンクラウド・サービスを構築しようとしている。

 富士通は2025年4月から「Fujitsu クラウドサービス powered by Oracle Alloy」の提供を開始する。同社は2024年4月にOracle Alloyの採用を明らかにしており、以降150社以上から引き合いがあるという。また提供開始前から既に国のインフラを支える組織から初受注もあったと、2024年2月13日に開催された「Oracle CloudWorld Tour Tokyo 2025」の基調講演で富士通の古賀一司氏が明らかにした。

富士通株式会社 執行役員 SEVP システムプラットフォーム ビジネスグループ長 古賀一司氏
富士通株式会社 執行役員 SEVP システムプラットフォーム ビジネスグループ長 古賀一司氏

 Oracle Alloyを利用したソブリンクラウドの提供において富士通は、Oracle Japan Operation Centerと協議して「ソフトウェアやパッチのアップデートをどう適用するのかといった細かい点も含め、ソブリンクラウドの実現に向けて急ピッチで準備を進めています」と古賀氏は言及している。

 今はまだデータの秘匿性が必要な組織のシステム、クラウド化できていないミッションクリティカルシステムについて、“安全な移行先”としてのソブリンクラウドに関心がもたれている状況だ。他にもパブリッククラウドに移行後のトラブル、たとえば事前に通知されないバージョンアップで業務が停止し、甚大な影響が出たなどの理由からソブリンクラウドへの移行を検討している企業もいるという。

 つまり富士通のソブリンクラウドは、データ主権などを目的とするものだけでなく、ミッションクリティカルシステムの移行先としてのニーズが高い状況だ。そのために同社ではミッションクリティカル・トランスフォーメーション・サービスを2025年3月から新たに提供する。ここにはミッションクリティカルシステムを支える、ITインフラを最適化するためのコンサルティングサービスも含まれるという。「ミッションクリティカルシステムのクラウド移行を検討する際には、これまでの責任を“完全に分解した”考え方ではうまくいきません。業務とアプリケーションを意識した上で、インフラを設計しなければなりません」と古賀氏。顧客業務がわかるSEとクラウドネイティブな知識をもったエンジニアが連携し、ミッションクリティカルシステムの設計を総合的にサポートしていく。

 また、ミッションクリティカル・モダナイゼーションサービスが用意されており、AIを用いてシステム移行の負担軽減にも取り組むという。さらにオンプレミスと同等のサポートを提供するための追加サービスも提供予定だ。

次のページ
「ジャパンオペレーションセンター」が成否の鍵に

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
週刊DBオンライン 谷川耕一連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/21531 2025/03/06 08:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング