PagerDutyは、「AIエージェントの導入実態に関する調査結果」を発表した。
同調査では、94%の企業が「生成AIよりもAIエージェントを迅速に導入している」と回答しており、そのうち55%が「組織全体へ急速な導入」に強く同意。企業が複雑なワークフローの自動化・効率化を追求する中、AIエージェントはAI活用の次なるステージとして、より迅速かつ大きな業務改革をもたらしているという。
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同調査における主な調査結果は次のとおり。
- 生成AIの普及状況:グローバル平均で63%が生成AIを全社的に導入していると回答。一方、日本では44%にとどまり、グローバル平均と比較して導入状況の遅れが目立ったという
- AIエージェントの普及状況:グローバル平均で51%が既にAIエージェントを導入していると回答。日本の回答は32%で、生成AIの普及状況と同様、導入状況の遅れがあることがわかったとしている
- AI導入の成熟度:生成AIを既に本格導入している企業のうち、71%がAIエージェントの導入も進めているのに対し、生成AI未導入の企業では導入率が19%にとどまり、導入段階に明確な差が生じているという
- 高い投資対効果(ROI)への期待:62%の企業が、AIエージェントに対して100%以上のROIを期待しており、平均期待値は171%に。また、既に導入済みの生成AIについても、平均152%のROIが実現されているという
- 大規模なワークフローの自動化:52%の企業が、AIエージェントの活用によって業務の26〜50%を自動化または高速化できると見込んでおり、業務効率化に対する期待が高まっている
- AIの将来的なインパクト:AIエージェントと生成AIの影響を比較したところ、44%のビジネスリーダーが「AIエージェントのほうが大きな影響をもたらす」と回答。一方で、40%は「生成AIのほうがより変革的である」と考えており、意見が二分しているという
- 生成AI導入から得られた教訓:グローバルのビジネスリーダーは、生成AI導入時の失敗を繰り返さないよう注力しており、最大の課題として「計画不足での導入」(44%)を挙げたとしている。次いで、「コスト管理」(40%)、「従業員教育の改善」(37%)、「強固なデータ基盤の整備」(37%)が、今後のAI戦略における優先事項とされているとのことだ。日本企業では、「AI活用に関するガイドラインの未整備」(46%)や「ROIに対する明確な期待値の未設定」(45%)が課題として挙げられた
- AIへの投資拡大:75%の企業が100万ドル(約1.5億円)以上の予算をAI関連施策に投資しており、長期的な視点での取り組みが定着しつつあるとしている。一方、日本企業においては、同水準の投資を計画している企業は40%にとどまり、グローバルとの乖離が顕著になったという。なお、PagerDutyが3月に発表した別調査では、日本企業の71%がIT運用予算を前年比で増加させる意向を示しており、AI領域への投資については依然として慎重な姿勢や、他のIT領域への優先的投資が影響している可能性が考えられるとのことだ
また、多くの企業にとって、生成AI導入時の課題の一つが「従業員トレーニングの不足」であったという教訓を活かし、AIエージェントの導入に際してはより異なるアプローチを取ろうとしている。同調査によれば、すべての企業が何らかのトレーニングや支援策を計画していることが明らかに。具体的には、61%が全社向けセミナーや体系的な取り組みを優先事項として掲げ、56%が外部講座の受講支援を計画、さらに52%が社内メンター制度やオフィスアワーの導入を予定しており、従業員がAIエージェントを業務に効果的に取り入れられるよう支援体制を整えているとした。
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