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日本市場で息巻く「オブザーバビリティ」の活況はこの先も続くのか?──ガートナー米田氏に将来予測を訊く

注目集まる「AIOps」実現に向けて注意したいポイントも整理

ガートナー米田氏が分析する、日本企業の“現在地”

 クラウドネイティブへの流れとともに本格化しつつあるように見える日本のオブザーバビリティ市場だが、日本企業は現在どのようにオブザーバビリティと向き合っているのか、米田氏は以下のような特徴を洗い出している。

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ガートナージャパン株式会社 リサーチ&アドバイザリ部門 シニアディレクター アナリスト 米田英央氏

特定の業界での急伸

 コロナ禍以降の需要拡大により、リアルタイムなシステム監視や障害予兆検知が欠かせない「EC/オンラインサービス業界」、決済サービスのオンライン化/リアルタイム化にともなってインシデント対応の迅速化やレイテンシ削減が求められている「金融/決済系」、工場内のIoTデバイスや制御システムの監視ニーズが高まり、IT/OTともに可視化/分析に注目が集まる「製造業(IoT/スマートファクトリー)」での伸びが顕著となっている。

本格的なオブザーバビリティ運用よりもモニタリング中心

 まだ基礎的な監視(ログ収集やメトリクス監視)の段階にとどまっている企業が多く、Kubernetesやマイクロサービスのフル活用、あるいはアプリケーションレベルのトレーシングや分散トレースを駆使した高度なオブザーバビリティ活用は今後の課題としている企業が少なくない。

サーバレスやコンテナ環境での利用増加

 クラウドの利用拡大にともない、「AWS Lambda」「Azure Functions」といったサーバレス環境やKubernetesの利用が一般化し、ログやメトリクスだけでは捉えきれない分散環境の挙動を可視化するためにオブザーバビリティツールを導入する企業も増加。特にWeb系ベンチャーやSaaS事業者、大手IT企業などではサーバレスやマイクロサービスの活用が積極的に行われている。それらの企業によって蓄積されたノウハウが中堅中小企業へと拡がっている印象。

Kubernetes/マイクロサービスの導入率の変化

 Kubernetesやマイクロサービスの利用は確実に増えているものの、日本にはレガシーシステムが根強く残っており、モノリシックなアプリケーションが多いことから、米国や欧州の大手企業と比較するとKubernetes採用率はまだ低め。ただし、一度クラウドネイティブなサービスに移行しようと決めた企業は、コンテナ活用やCI/CDパイプラインとあわせてオブザーバビリティツールを導入するケースも増えている。

オンプレとクラウドの両立の必要

 日本企業はコンプライアンスやセキュリティ要件から、一部システムをオンプレで維持するケースが少なくない。したがってハイブリッドクラウド環境やマルチクラウド環境を横断的に可視化/監視できるようにするニーズがグローバル平均よりも高い。

SRE/DevOps文化の成熟度

 SRE/DevOpsといったカルチャーを導入する企業も増えているが、米国のIT企業のようにエンジニアドリブンで進化している日本企業はまだ限定的。ただし、こうしたカルチャーに影響を受けて、運用保守部門と開発部門が分かれていた運用体制を見直す企業も出始めている。

人材不足と外部ベンダー依存

 インフラやオブザーバビリティの専門知識をもったエンジニアが日本企業には少なく、システムインテグレーターや外部コンサルティングに導入から運用まで任せているケースが多い。一方でDatadogやDynatrace、New Relicなどの大手オブザーバビリティベンダーが日本拠点を拡大しており、ローカライズやサポート体制を充実させていることから、オブザーバビリティ導入のハードルが下がってきている。

経営層の理解がまだ不十分

 グローバルと比べると経営層や管理部門のオブザーバビリティの理解度は十分ではなく、「障害が発生してからツールを導入する」という受動的なケースが見受けられる。ただし、DX担当やCIOの間ではオブザーバビリティの価値が高まっており、状況は改善しつつある。

 なお、日本企業がオブザーバビリティに期待する領域として、米田氏は以下を挙げている。

  • リアルタイムな障害検知や迅速なトラブルシューティング
  • 顧客向けサービスのパフォーマンス向上、ユーザー体験の改善
  • リソース最適化やイベント/アラート収集の自動化による運用コストの削減および効率化
  • DevOpsやSREと組み合わせた継続的なイノベーション推進/サービス改善
  • コンプライアンスおよびリスクマネジメントの向上

 特に最優先課題としてよく挙がるのが「リアルタイムな障害検知」である。たとえばECサイトなどでシステム障害が発生すれば、その解決に時間がかかればかかるほど機会損失の規模は大きくなり、さらには「使いたいときにつながらない」という負のユーザー体験は顧客離れを引き起こす可能性が高い。少なくとも障害発生の理由はできるだけ迅速かつ詳細に把握し、ユーザーに対してすみやかに説明する必要がある。

 「オブザーバビリティツールにより問題箇所の特定がスムースになり、障害対応にかかる時間(MTTR:Mean Time To Repair)を短縮することでビジネスにおける機会損失を最小限にとどめることが可能となり、SREや運用チームの工数削減にも有効」と米田氏は指摘するが、障害からのリカバリの速さはシステムの安定稼働にも直結するだけに、今後もオブザーバビリティ導入の最重要ポイントであることは間違いない。

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向こう5年で標準的なツールへ躍進か AIOpsの期待高まる

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五味明子の『エンプラIT Round-up』連載記事一覧

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この記事の著者

五味明子(ゴミ アキコ)

IT系出版社で編集者としてキャリアを積んだのち、2011年からフリーランスライターとして活動中。フィールドワークはオープンソース、クラウドコンピューティング、データアナリティクスなどエンタープライズITが中心で海外カンファレンスの取材が多い。
Twitter(@g3akk)や自身のブログでITニュース...

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