ガートナージャパン(以下、Gartner)は、市場で混乱が生じているAIエージェントとエージェント型AIに関する見解を発表した。
2024年には「AIエージェント」、2025年には「エージェント型AI(またはエージェンティックAI)」という言葉が注目されるようになり、両者の違いについて混乱が見られるという。Gartnerでは、AIエージェントとエージェント型AIを次のように定義している。
- AIエージェント:デジタルおよびリアルの環境で、状況を知覚し、意思決定を下し、アクションを起こし、目的を達成するためにAI技法を適用する自律的または半自律的なソフトウェア
- エージェント型AI:組織のために行動し、自律的に意思決定を下してアクションを起こすために、組織に代わって行動する権利を付与された、目標主導型のソフトウェア・エンティティ。記憶、計画、センシング、ツール利用、ガードレールなどのコンポーネントと共にAI手法を使用して、タスクを完了し、目標を達成する
Gartnerはチャットボット、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)、AIエージェント、エージェント型AIの違いを次のように示している。
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AIは、その自律性や判断力に応じて段階的に進化しているという。現在の多くのAIエージェントは「手組み細工的な存在」であり、ある程度の判断力を持ち、シンプルなタスクの一部を自律的に実行できるとしている。一方、新世代のエージェント型AIは「エージェント性(特定の成果を達成するために、どのアクションを実行すべきかを自律的に選択する性質)と目標指向性(目標に向かって一貫した行動を取る性質)を備えた進化系」であり、記憶や計画、ツール活用などの機能を備え、複雑なタスクを自律的に目的指向で遂行することが期待されているという。AIは単なる自動化から、人の代理として行動する高度なエージェント型へと進化しつつあるとGartnerは述べる。
現在、急速にホットになりつつあるテーマとしては、AIエージェントがツールなどを多用する際に、一貫した思考や記憶を与えるプロトコルであるMCP(モデルコンテキストプロトコル)、また、AIエージェント同士が連携するための会話のルールを定めるAgent-to-Agent(A2A)のようなエージェント間プロトコル。こうした具体的なイノベーションをともない、AIエージェントは、さらに高度なものへと進化しつつあるとしている。
Gartnerは、2028年までに、日本企業の60%では、AGIベースの新たなエージェント型AIとヒューマノイドと、ともにビジネスを行うことが当たり前となると見ているとのことだ。
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