2025年5月20日、アトラシアンは東京開催の年次イベント「Team on Tour Tokyo」を開催した。

Atlassian Chief Revenue Officer(CRO)ブライアン ・ダッフィー氏
同社 Head of Product, Jira デイヴ ・メイヤー氏
同イベントは今年で8回目を迎え、「AIと創る『明日の働き方』」がテーマに掲げられた。同社 代表取締役社長 スチュアート・ハリントン氏やAtlassian CROのブライアン・ダッフィー氏が登壇すると、「(我々の目的は)すべてのチームの可能性を引き出すことだ」と訴えかける。
アトラシアンは、プロジェクト管理ツール「Jira」やコラボレーションツール「Confluence」などのソリューションを核に展開する中、組織のサイロ化を解消しながら(チームの)コラボレーションを促進するため、「System of Work」をキーワードとして新機能開発などに取り組んでいるという。Atlassian Cloud Platformとして、各種ツール間でデータをより活用していくため、昨年にはAIによる検索・チャット・エージェント機能などを搭載した「Rovo」をリリースしている。
Team on Tour Tokyoの基調講演においては、「Atlassian Team'25」での発表に基づく形で新機能などが紹介されており、Rovoに関してはJiarやConfluenceと連携しながら、「Rovo Studio」によりノーコード/ローコードでAIエージェントを構築・運用できる点などがフォーカスされた。たとえば、Rovo Search機能では「Data Center」を用いて、Google DriveやSlackなどのサードパーティ製アプリケーションと連携することで、各所に散らばった情報をパーソナライズした形で提案してくれるという。実際に講演では架空の企業を例に挙げて、Rovoがプロジェクトに関するドキュメントを検索・提案し、次のアクションを導いていく様子がデモンストレーションで紹介された。AtlassianでHead of Product, Jiraを務めるデイヴ・メイヤー氏は、「AtlassianのほとんどのアプリにRovoが組み込まれた今、大規模に利用するほど可能性が広がっていく」と話す。
また、2023年に同社が買収したLoomについても成長しているとして、前述したSystem of Workを実現するための機能として「Teamwork Collection」を紹介。Loomを含めて、JiraやConfluenceを連携させながらRovoがコラボレーションを促進。Loom上で動画からConfluenceページを作成し、作業項目を自動作成、ユーザーに割り当てて実行していくことも可能だとする。
さらに経営陣などに向けて、事業計画などをリアルタイムで修正していくためのアプリケーション「Atlassian Strategy Collection」も発表された。Rovoがリスク分析・提案を行ったり、人材とポジションを統合的に管理したりするためのTalent機能などを備えているという。なお、これらは基本的に無料で利用可能だ。他にも開発者を支援するための「Rovo Dev Agents」、ユーザーサポートに活用する「Customer Service Management」にも触れられた。最後にメイヤー氏は「Rovoが素晴らしいということ、Teamwork Collectionがチームの共通言語になるということ、Strategy Collectionによってテクノロジーリーダーがタスクを推進しやすくなること。これらを今回は伝えたかった」と述べて、基調講演を締めくくった。
なお、Team on Tour Tokyoでは講演だけでなく、展示ブースやネットワーキングパーティーによる情報交換の機会も設けられており、参加枠は満席になるなど、盛況ぶりをみせていた。
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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
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