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ITリーダーは生成AIへの「憧れ症候群」に注意せよ──役割と選択肢が増える中で陥る意思決定の罠とは?

単なる「IT担当者」ではなくなったCIO、“コンポジットモデル”でテクノロジーを組織に実装せよ


「コンポジットAI」のアプローチで成功をつかめ

 別の質問では、「コンポジットAI(複合AI)」の概念に話題が移った。SASが顧客への支援や、自社の戦略の中でこの概念を重視しているからだ。コンポジットAIとは、機械学習や自然言語処理、生成モデルなど、複数のAI技術を組み合わせて活用するアプローチを指す。アップチャーチ氏は、このアプローチの本質を次のように語った。

 「コンポジットAIは、先ほども話した通り『成功をつかむためには複数の異なるAI技術が必要である』という信念そのものともいえるでしょう。生成AIが唯一のツールで、あらゆる場面で使うべきものというわけではありません。目的や場面によっては機械学習もツールになり得ますし、コンピュータービジョンもツールになり得ます。自然言語処理を活用すべき場面もあるでしょう」(アップチャーチ氏)

 ここでIT部門が直面する課題は、「どの問題にどのAI技術を適用すべきか」を見極めることだ。過去2年間、多くのCIOが生成AIに夢中となり、あらゆる問題を生成AIで解決しようと試みる傾向があったが、それが常に効果的とは限らない。

 その際にIT部門に求められるのは、組織のビジネスや解決したい課題を常に起点として物事を考えることだ。アップチャーチ氏は、これを「IT部門が保つべき“規律”」と称する。

 同氏が特に強調するのは、「重要な意思決定において生成AIだけに頼るべきではない」というメッセージだ。新しい技術への憧れに駆られて生成AIを採用したものの、6ヵ月後になって別の技術を選択すべきだったと気付き、結果として多くの時間とコストを浪費してしまうケースが少なくないという。

 SASがコンポジットモデルを重視する理由は、実際にこのアプローチで成功を収めているケースがいくつも出てきているからだ。アップチャーチ氏が知る顧客や交流のあるCIOの中でも、AI活用に成功しているのは適材適所の技術を選択できている人たちだったという。生成AIは数多あるオプションの一つに過ぎない。

 AIがPoC段階までいくものの、実際の大規模導入には至らないケースが多い理由について他のメディアから質問された際も、アップチャーチ氏は「コンポジットAIがその解決策になり得る」と答えた。

 「スケールに失敗するのは、そのビジネス課題に適さない技術を選択しているからである場合が多いです。ユースケースに積極的に焦点を合わせ、それに適合するAI技術を見つけ、スケールさせていく必要があるでしょう」(アップチャーチ氏)

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)

サイバーセキュリティ、AI、データ関連技術やルールメイキング動向のほか、それらを活用した業務・ビジネスモデル変革に携わる方に向けた情報を発信します。

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