フィッシング対策に“楽しませる文化”を反映したT-Mobile:Zscalerイベントで見えた「ゼロトラストの未来」
「Zero Trust Everywhereのゴールは近い」製品戦略担当が見据える可能性
「ゴールは近い」製品戦略担当が語るZero Trust Everywhereの進捗
基調講演の後には、Zscaler 製品戦略担当エグゼクティブ バイス プレジデント兼責任者のDhawal Sharma(ダワル・シャルマ)氏へ個別取材の時間が設けられた。今回の基調講演では「Zero Trust Everywhere(ゼロトラストをどこにでも)」というコンセプトが紹介されたが、その実現に向けて同社は、従来提供してきたプラットフォームを拡張する形で対応していく。このコンセプトを達成するためにAIの活用や、昨今必要性が増しているデータセキュリティの強化などをより積極的に行っていく方針とのことだ。
今回の新製品発表でシャルマ氏が特に強調して伝えるのは、「企業におけるサプライチェーン全体を守るためのソリューション群を展開し、ゼロトラストの輪を広げていく」という考えだ。講演では、BtoBパートナーのアクセス保護を強化する「Zero Trust Exchange for B2B」が発表された。グループ会社や工場拠点などのサプライチェーンを保護するソリューションの提供により、ゼロトラストの全社導入が容易になる。また、AIベースのオブザーバビリティを活用しており、インターネットの外側からセキュリティを担保できることも特筆すべき特徴だという。
既に多くの企業がゼロトラスト実現に向けたソリューションを展開する中で、Zscalerの優位性はどこにあるのか。同氏は、「ゼロトラストを達成するために必要な一連の取り組みを、一気通貫で提供できることだ」と語る。他社はアイデンティティ管理やアプリケーションのセキュリティ保護など、それぞれの領域に特化したサービスを提供しているが、それでは真のゼロトラストセキュリティを達成することが難しい。
「ゼロトラストを実現するには、トラフィックの全体像を把握する必要があります。そのためには、分断されたサービスを導入するよりも、1つのプラットフォームですべてを網羅できたほうが効率が良いでしょう。また、お客様との会話で『対応するベンダー数を減らしたい』という要望もよく耳にします。それを実現するためにも、一気通貫でセキュリティを監視できるソリューションの提供が重要となってきます」(シャルマ氏)
昨今は、特にゼロトラストの導入が盛んになっている。今まで使っていたファイアウォールからクラウドへ移行するユーザーなどの数が年々増加しており、同氏は「ゼロトラストの市場は、2~3年後にはさらに伸長していくだろう」と予測しながら「市場の変遷を加味して、当社は良いポジションに立てている」と分析した。
そんなZscalerが掲げるZero Trust Everywhereの実現について、「ゴールは近い」と同氏は語る。コアとなる基盤の構築は完成していることから、今後は適宜新機能などを追加していきながら企業間のセキュリティをより強化していくと意気込んだ。
「日本に目を向けると、当社は多くの日本企業のDXに対して投資してきました。最近は、日本でのゼロトラストの機運も高まっていると思います。今後も、日本企業におけるゼロトラスト実現に向けて、優れたチームを設置しながら支援を続けていきます」(シャルマ氏)
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