脆弱性や設定上の不備を狙ったサイバー攻撃が頻発……クラウドシフトの今考えたい「CNAPP」の必要性
ポストAI時代、クラウド運用の“4大リスク”を守るべく2025年5月から提供開始!

サイバーリーズンは、各種市場調査ではEPP(Endpoint Protection Platform)、EDR(Endpoint Detection and Response)、MDR(Managed Detection and Response)においてはどれも国内シェアで連続トップを占めるほど、エンドポイント保護では有数の実績を誇る。そのサイバーリーズンが今後を見越して注力するのが「XDR(Extended Detection and Response)」や「CNAPP(Cloud Native Application Protection Platform)」だ。
マルチクラウド化が進む今、「CNAPP」に注目集まる
あらためて、なぜXDRに注力しているのか──。その背景には情報インフラの複雑化があるという。かつては会社や拠点、それとデータセンターごとでITを活用していた。そこに、より安価、高度、高性能な基盤としてクラウドサービスが登場して、クラウドシフトが進んだ。さらにコロナ禍でリモートワークが普及したことも加わり、今では情報インフラの要素が増えて複雑化している。

そうなると攻撃者が悪用するアタックサーフェス(攻撃可能なポイント)は格段に増加する。対応するために防御側の強化も必要となるが、効率的に運用できなければ対処が手遅れになりかねない。サイバーリーズン セールスエンジニアリング統括本部 プリセールス本部長の遠藤肇氏は「エンドポイントではEDRの検知からSOCの対処までのサービスレベルを5分以内(SLO)と設定していますが、他の領域の情報もXDRに統合していくことで、エンドポイントに到達する前に予兆をとらえ、より早く対応することで被害の抑止力を向上させています」と話す。
今では多種多様なセキュリティテクノロジーがある。エンドポイントの検知と対応のEDR/MDR、エンドポイント保護のEPP/NGAV、モバイルデバイス保護のMTD、これらでエンドポイントを保護しつつ、さらにネットワーク検知と対応のNDR、侵入防御のFW/IPS、Webアクセス保護のSWG、クラウド可視化と制御のCASB、セキュリティ製品の統合のためのXDR、ここに新しくCNAPPが注目されている。
CNAPPとは、ガートナーが提唱したクラウド環境におけるサイバーセキュリティ保護の統合ソリューションと言える。現状ではパブリッククラウドごとに脅威を検出するためのサービス、たとえばAWSならAmazon GuardDuty、Microsoft AzureならMicrosoft Defender for Cloud、Google CloudならSecurity Command Centerなどがある。
ただし、それぞれ粒度や機能はばらつきがあり、マルチクラウドのメリットを得るためにはそれぞれの技術を習得する必要があった。これはこれで学習コストがかかる。マルチクラウド運用時にセキュリティ対策のレベルを平準化し、一元管理できるようにするものがCNAPPと考えていいだろう。
ポストAI時代のクラウド環境を守るために「3つの提言」
では、具体的にCNAPPにはどのような機能が実装されているべきか。主なものとしては、コンプライアンス管理のCSPM(Cloud Security Posture Management)、権限管理のCIEM(Cloud Infrastructure Entitlement Management)、ワークロード保護のCWP(Cloud Workload Protection)、検知・対応のCDR(Cloud Detection and Response)となる。

CNAPPが提唱される背景には、実際に権限管理や設定ミス、脆弱性管理の不備に起因したインシデントが繰り返されているからだ。たとえば、2024年5月にはコーヒーショップのオンラインサイトにて、攻撃者から脆弱性を突かれたことで侵害が生じてしまったケースが発生。また2024年10月にはあるスポーツジムにて、権限管理の不備により公開すべきではない情報が閲覧可能となっていたことで情報漏えいにつながってしまったケースが挙げられる。
この先を考えると、生成AIモデルも攻撃者に狙われるリスクがある。Webアプリケーションのセキュリティ向上にむけた情報提供をしているOWASP(Open Web Application Security Project)は2024年末、LLMアプリケーションに特化したセキュリティリスクを公表し、警告している。またサイバー攻撃者が使う戦術や技術をまとめた「MITRE ATT&CK」でも、生成AIモデルに特化した攻撃手法をまとめたフレームワークを公表している。
攻撃者のなかには余計なクエリや問い合わせを紛れ込ませることで、生成AIのクレジットやトークンを無駄に消費させて経済的損害を与えようとするものもあるという。「生成AIに関しては、機能開発を優先して進めている企業も多いとうかがっていますが、セキュリティ対策の不備によって大きな損害が出る可能性もあります」と遠藤氏は警告する。

こうした背景を踏まえ、遠藤氏はポストAI時代のクラウド環境を守るためとして、3つ提言した。1点目は、脆弱性や設定ミスの混入を見逃さない品質管理の自動化。日々脆弱性が発見されるなか、必要なものを見逃さず、ミスなく作業するのは人間には不可能に近い。そのためシステムで自動化を進めて、属人化せず作業できるようにする必要がある。
2点目は、リアルタイムで相関、不審な振る舞いを検知する可視化。攻撃のスピードは年々増している。最近発見された攻撃手法のなかには、攻撃開始から情報窃取まで10分程度のものもある。そのため24時間365日、リアルタイムで監視する必要がある。
3点目は、マルチクラウドの統合管理による運用保守業務の最適化。CNAPPが想定しているように、マルチクラウドを効率的に運用できるようにするための取り組みも進めていく必要がある。
クラウド運用の“4大リスク”にどのように対処するのか?
サイバーリーズンでは先に遠藤氏が述べた3点の提言を満たす「Cybereason CNAPP」を2025年5月から提供開始している。クラウド運用における4大リスク(過剰なパーミッション、設定ミス、ソフトウェアの脆弱性、ランタイム脅威)から保護できるものとなる。

4大リスクとは、先述したインシデントにもあったように、設定ミスや過剰なパーミッションを見つけて対処する。または攻撃者に悪用される前に、脆弱性を見つけて対処しておく。どんな対策をしても攻撃者が侵入してくることを想定して、リアルタイムで監視して脅威を検出することで被害を最小限にするなどだ。仕組みや機能をそれぞれ見ていこう。
コンプライアンス違反検知(CSPM)
金融系ならPCIDSS、医療機関ならHIPAAのように業界団体から提供されるもの、あるいはパブリッククラウドからリリースされるベストプラクティスなどをもとに、適合しているのか反しているのかを自動的にチェックする。
利用可能なコンプライアンスポリシーには、リスクフレームワークだとMITRE ATT&CKやOWASP、NISTなどが揃っている。直近では防衛関連のNIST SP800-171だ。日本でも防衛装備庁が調達基準でこのNIST SP800-171と同等の対策をしていることが求められており、こうしたフレームワークに合致しているかを確認することができる。
実際にコンプライアンス違反を検知すると、たとえば、Amazonが公開しているベストプラクティスに違反していた場合、詳細から修復方法まで確認を進めていくことができる。下図はAmazon S3に対して、多要素認証の設定に問題があると指摘されたケースだ。

過剰権限検知(CIEM)
ここではクラウドインフラの権限管理を行う。各プラットフォームで設定したポリシー、ユーザー、グループ、ロールを自動的に収集し、ポリシー違反がないかどうかをあぶり出す。たとえばAWSでIAMポリシーを選択すると、使われていないのに権限が割り当てられているものが表示される。使われていないものは権限を剥奪するためのコマンドなど修復手段が提案される。

脆弱性検知(CWP)
脆弱性情報データベースやスコアリングのデータベースから情報を自動的に収集して、問題があれば管理者に通知する。チェック対象はCI/CDパイプライン、コンテナレジストリ、ランタイムまで、アプリケーションの開発から稼働に至るまでにあらゆる工程で自動スキャンを実施する。
遠藤氏は「日々脆弱性は見つかり続けます。コンテナのビルド時点ではなかったとしても、デプロイのタイミングで脆弱性が登録されていることはざらにあります。お客様向けのサービスに脆弱性を混入させないように常に検査し続ける必要があります」と説明する。
実際に脆弱性を検知した場合、ステージ(パイプラインか、レジストリか、ランタイムか)やスコアリングが表示される。大量に検出される脆弱性のなかから「既に修正版がある(からアップデートすればいい)」「悪用方法が公開されている(から悪用されないように対応する)」「稼働中のコンテナに含まれる(から優先的に対応)」などで分類されるので、どこから対応すればいいかを判断する助けになる。
脅威検知(CWP/CDR)
こちらはパブリッククラウドからIDaaS、Kubernetes、CI/CDツール、ワークロードに至るまで、全般的にアクティビティを監視する。時系列にどういう振る舞いがあったのか、MITRE ATT&CKのフレームワークにマッピングするとどうなるかなどを調べることができる。もし悪質なら、様々なルートでアラートを発報する。もしCybereason XDRがあれば、こうしたアラートも収容される。遠藤氏は「パブリッククラウド・オンプレを問わず、リアルタイム監視して解析を行います」と言う。
Cybereason CNAPPに興味があれば、無償アセスメントや無償検証(PoC)も提供されているため、利用してみるといいだろう。
最後に遠藤氏は「Cybereason CNAPPを用いることで、一部のプラットフォームは強力に守られているが、一部のプラットフォームは攻撃を受けるリスクが高いなど、ばらつきがないようにセキュリティ対策を平準化できます。かつ、それが担当者の負荷にならないように一元的に運用することが可能です。Cybereason XDRと連携することでエンドポイント、ネットワーク、認証など様々なものと統合し、運用者の負担軽減と対処時間の短縮化を両立できます」と述べて講演を締めた。
Cybereason CNAPPの最新情報セミナー&ハンズオンセミナーを8月開催!
「CNAPP」をはじめとするサイバーリーズン製品の最新機能と有益な活用方法をデモを交えて詳しくご紹介する製品アップデートセミナーを2025年8月19日(火)に開催します。さらにCybereason CNAPPの特長や活用メリット、実際の管理画面を操作しながら脅威の検知・対応を体験できるハンズオンセミナーを同年8月21日(木)に開催! ぜひご参加ください。
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提供:サイバーリーズン合同会社
【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
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