大塚製薬×AWSが切り拓く診断イノベーション/130億文字のゲノム解析を現場に届ける
AWS Summit Japan 2025:大塚製薬セミナーレポート
止まらない診断とDigital Innovation Programが描く2035年の医療現場
診断事業の今後に向けて、大橋氏は意欲的な成長戦略を描く。2025年から2030年までは創造性を大切にするフェーズで、前述の認知症診療支援検査や血液がん遺伝子パネル検査のような仕組みの開発を拡大すると同時に、新しいテクノロジーの開発も並行して取り組む計画だという。そして、10年後の2035年に向けては、日本からグローバルへの事業成長を目指している。デジタル製品の拡充と事業拡大にあたっては、ウェアラブルデバイスを含めて選択肢の増えてきたセンシングテクノロジーに注目している。「患者様のステージに合わせて、予防から診断、治療、経過観察までをサポートしたい。経過観察では行政との連携にも取り組んでいく」と大橋氏は抱負を語った。

新製品の開発では、AWSが主催するDigital Innovation Programへの参加機会を活用している。このプログラムは、企業が顧客視点での製品/サービスを開発できるよう、共同ワークショップから学ぶものになる。Amazon Kindle、Amazon Go、Amazon Primeなど、Amazonが実現したイノベーションはどうやって生まれたのか。そのプロセスを追体験できるのがプログラムの特徴だ。
最初は「もし画期的な新製品を開発したら、最初のプレスリリースはどんな内容になるか?」から始め、FAQの作成、ドキュメントの作成、そのレビューを繰り返して、アイデアを練り上げる。アイデアはAWS上でプロトタイプを開発して実装する。この他、大塚製薬では独自に医療現場の観察を通したニーズの掘り起こしにも取り組んでいる。「医療とテクノロジーを掛け合わせて、大塚にしかできないことを研究する。伝統を大切にしながらも、診断のための新しいデジタル製品を開発し、患者様に、社会に貢献したい」と大橋氏は語った。
この記事は参考になりましたか?
- 冨永裕子の「エンタープライズIT」アナリシス連載記事一覧
-
- 大塚製薬×AWSが切り拓く診断イノベーション/130億文字のゲノム解析を現場に届ける
- 【ガートナー】エージェンティックAI時代のアプリケーション調達戦略/フランケンスタックの罠...
- SAPがパランティアと組んだ理由/SAP Business Data Cloudの戦略とは...
- この記事の著者
-
冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア