データ圧縮で過去のデータは小さく、性能向上も
データベース集約では、ストレージ容量も懸念事項になるかもしれませんが、最近のデータベースには標準でデータ圧縮機能が搭載されるようになりました。DB2にも当然その機能が含まれています。
DB2の圧縮機能(図2)は、「表全体のパターンを分析して圧縮辞書を作成するので、非常に効率よい圧縮を実現します」(中林氏)というように、DB2の目玉機能として紹介されることの多い機能です。過去のキャンペーン結果や古い売上げデータなど、たまにしか使われない大量のデータは、圧縮して集約することでストレージを節約しつつ運用コストを下げることができるでしょう。
しかし圧縮の対象は、こうした古いデータだけではありません。DB2の圧縮機能では、データ圧縮されたままでディスクの読み書きからバッファプールへの記憶まで行われます。一般にデータベースの性能はI/Oとキャッシュがボトルネックになることが多いため、圧縮して取り扱うデータが小さくなることで性能向上も期待できます。
自動チューニングも運用工数の削減に貢献してくれるでしょう。これは3分ほどの間隔で実行クエリをモニタし、それに合わせてDB2の設定が自動チューニングされる機能です。例えば昼と夜で動作パターンが変われば、それに合わせてチューニングも変わるようにできるため、ある程度自律的に効率の良い運用を行うことができるでしょう。
マニュアルチューニングを行う場合も、自動チューニングされたパラメータを起点に行うことで正確かつ効率の良い追い込みが可能です。
サーバ統合や効率的運用に沿ったデータベースを
ここでは情報システム部門がこれから果たすであろう役割の中で、DB2の持つ機能がどのような利点を提供するのかについて紹介してきました。このほかにもDB2にはXMLデータベース機能など独自の強みがありますが、それはまた別の機会に紹介するとしましょう。
今後の情報システム部は、全体最適なシステムの構築やガバナンスの強化など、より経営に密接な役割が求められます。その手段として、サーバ統合や効率的な運用に沿った機能を備えたデータベースも同時に求められることになるでしょう。
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- この記事の著者
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新野 淳一(ニイノ ジュンイチ)
1988年に株式会社アスキーに入社。データベースのテクニカルサポート、IT系雑誌編集などを経て、フリーランスのライターに。2000年には株式会社アットマーク・アイティの設立に参画し、取締役就任。IT技術系のWEBサイト「@IT」の立ち上げにも関わる。2008年、「@IT」発行人を退任し、再びフリーラ...
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