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キリンはAI時代を「データメッシュ」で戦う──独自生成AIの活用拡大で新たに挑むマネジメントの現在地

「今が組織変革の最大のチャンス」AI活用を起点にデータの“当事者意識”向上を狙う


 キリンホールディングス(以下、キリン)は、DX推進の一環として全社共通のデータ基盤構築を進めるとともに、自社特化型の独自生成AI「BuddyAI」を開発、その活用を全社に拡大させている。このBuddyAIの本格的な活用は、全社的なデータマネジメントのあり方を変える大きな契機となっているという。BuddyAIの活用拡大にともなうデータマネジメントの課題と取り組みをテーマに、データ基盤の整備・運用の現状、データガバナンス強化の方針、そして社員の意識改革について話を訊いた。

グループ共通データ基盤構築とデータメッシュ構想

 デジタル戦略「KIRIN Digital Vision 2035(KDV2035)」を掲げるキリングループ。同社はデジタル基盤を強化し、食・ヘルスサイエンス・医療の領域で価値創造の「質」「量」「スピード」を高め、世界のCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)先進企業になるべく様々な取り組みを行っている。

 その一環として、同社が力を入れて取り組んでいるのが“生成AIの活用”だ。ChatGPTが登場した時期に合わせて、いち早くAIツール「KIRIN GPT」を社内展開するとともに、同社が開発した独自生成AI「BuddyAI」の活用も積極的に進めている。

 BuddyAIは、従業員の「Buddy(相棒)」としてAIが日常的に使用される状態を実現すべく開発されたもの。2025年5月から国内従業員約15,000人に展開されており、マーケティング・営業・研究開発など各部門のニーズに合わせた機能を追加している。

 また、キリンでは2015年11月からSAP導入の検討を開始し、2022年1月に本稼働させた。その時点で、同社は“データの重要性”を認識していたという。当時から、データマネジメント(以下、DM)組織が中心となり、データコントロールとガバナンスを効かせてきた。

 現在はグループ共通で活用できるデータ基盤の構築を目指しているが、「まだまだ道半ばの段階。キリングループが扱う領域は飲料、酒類、ヘルスサイエンス、そして協和キリンが担う医療と広範囲にわたるため、すべてを包括的に見られているわけではない」と現状を語るのは、キリンホールディングス デジタルICT戦略部の石浦亮佑氏だ。

キリンホールディングス株式会社 デジタルICT戦略部 石浦亮佑氏

 現在、同社には酒類や飲料類といった比較的規模の大きな事業領域を対象に、DM組織側でガバナンスを効かせながらコントロールを進めてきたデータ基盤の資産がある。そのうえで、今後のグループ共通基盤の構築では「すべてを一つのプラットフォームに統合するのではなく、データメッシュの考え方を採用する予定だ」と同氏は説明する。

 「データメッシュの考え方に合わせた基盤のあり方やデータの作り方を検討しており、新たなデータ基盤は2027年の完成を目標としています。これは、各事業の目的や利用シーンに応じてデータを流通させることを重視したものです。各事業にとって必要なデータは異なりますので、それぞれの需要に合ったデータを集められる基盤にしたい。従来の集中型データプラットフォームのように、データを1ヵ所に集める方法から脱却することを目指しています」(石浦氏)

 現在は、データの流通網として「データインテグレーションハブ(DIH)」を活用したデータプラットフォームの構想を練っているという。これは、DIHが各事業部門のデータをつなぐハブとして機能するというもの。各事業ドメインがデータオーナーシップを持つ基盤をDIHと連携することで、各事業の営業・マーケティング部門などが、必要な時に必要なデータを収集できる環境の構築が可能となる。

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現場にオーナーの意識を持ってもらえない……データ品質管理における課題

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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