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住友生命 岸和良の“JTC型DX”指南書 ~停滞するデジタル変革に喝!~

「要件定義待ちの情シス」をDX推進リーダーに変える組織変革術 教育とルール改編で3つの壁を超えるべし

第7回:情シスの役割は「守りの要塞」から組織の「プラットフォーム」へ

JTCで“挑戦”を歓迎する風土はどう生み出せる?

 多くの関係者の確認が必要な稟議や承認プロセスは、JTCの象徴ともいえる仕組みです。不正防止やリスク低減には役立ちますが、デジタル・生成AIの進化の速さとは相性が良くありません。「守る」ことを目的としたルールは、しばしば「挑戦しようとする意欲」を摘み取ってしまうのです。そこで、「試すためのルール」を整備することが必要だと筆者は思います。“小規模な実験”を速く行うことができ、結果も速くフィードバックできる仕組みです。

 一例として、重要度に応じて承認のレベルを変える仕組みが考えられます。影響範囲が社内に閉じるレベルの効率化なら素早く“実験”を可能にし、顧客接点に関わるものは守られた安全な環境で試すなど、スピードと安全性を両立させる仕組みが必要でしょう。

 また、失敗した内容を「失敗事例リスト」として整理し、社内で共有することも有効です。生成AIの誤回答やシステムの誤操作といった失敗を隠すのではなく、教訓として資産化する。こうした姿勢によって、柔軟な組織運営が可能となります。

 加えて、経営層は「失敗を責めない」姿勢を組織に示すことも必要です。挑戦を評価する仕組みを整えなければ、組織は既存の文化に縛られ続け、新しい事業も成功しないでしょう。

デジタルネイティブな意識を醸成する研修の3ステップ

 従来のシステム部門では、開発・運用・保守の専門性を深めるキャリア形成が中心でした。しかし、今の時代に必要なのは、デジタル技術や生成AIと事業を橋渡しできる人材です。顧客課題を理解し、技術を用いて解決策を描き、経営層に分かりやすく伝える。そのような役割を担う人材が増えなければ、組織は変われません。

 人材育成の方針としては、第一段階として全社員にデジタル技術、データ技術、生成AIやクラウドコンピューティングなどのデジタルの基礎を学ぶ機会を提供することが有効です。これらの概念は全職員が理解すべき事項だと筆者は捉えています。

 その後の応用編としては、各部門が自らの業務課題をテーマに小規模な実験を行う仕組みを作ると良いでしょう。さらに実践編では、上司が「課題」を提示し、部下がデジタルを活用して解決策を出す。その過程を評価するワークショップ型研修などを導入すれば、実践の勘所が鍛えられます。

 管理職に対しては、最新のデジタル事例を用いた研修や「デジタルを使った事業の可能性」のような意思決定プロセスを鍛えられる教育が有効でしょう。意思決定をする管理職が学ばなければ、部下は積極的に学びません。組織全体の変化は、管理職が自ら学び続ける姿勢を見せることから始まります。

 さらには、社外での経験を重視する「越境学習」も必要です。他社との合同研修、スタートアップとの協働、大学との研究連携などを通じ、社内の常識に縛られない発想を育てることが好ましいでしょう。

住友生命の実践事例

 筆者の所属する住友生命保険では、デジタル案件を進める際、システム開発部門が要件を受け取って実装するだけではなく、事業部門と対等に議論し、ともに新しいサービスや仕組みを構想できるようにするための取り組みを進めています。

 具体的には、システム部門の担当者に対してビジネススキル研修を行い、従来のIT知識に加えて市場や顧客視点で物事を考える力を養成しています。さらに近年は、生成AIを実際のビジネス場面でどう活用できるかを“体験”として学べる研修を実施し、単なるツール利用にとどまらず、新しい価値を提案できる人材を育てています。

 社外の越境活動にも社員を積極的に参加させています。たとえば、健康飲料や食品メーカーといった協業先との共同プロジェクトに参画することで、社内に閉じた発想ではなく、外部の知見や文化を取り込み、発想の幅を広げるようにしています。

 これらの取り組みを通じて、事業部門とシステム部門が「混成チーム」を組み、要件定義からシステム設計までを一体的に進める組織体制を整えており、従来の「発注と受注」という分断を乗り越え、共創型の人材育成カリキュラムとして進化させるようにしています。

まとめ

 デジタルと生成AIの時代において、従来型システムを築いてきた組織は3つの変化を遂げる必要があります。第一に、事業部門とシステム部門が共に学び、共に構想する関係を築くこと。第二に、組織のルールを変え、挑戦を可能にすること。第三に、事業知識とデジタル・生成AIの知識を掛け合わせ、新しい価値を創り出せる人材を育成することです。システム部門は「守りの要塞」としての役割を果たしてきましたが、それだけでは未来は開けません。過去の安定稼働を土台に、未来を共に描く「プラットフォーム」へと進化することが必要なのです。

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この記事の著者

岸 和良(キシ カズヨシ)

住友生命保険相互会社  エグゼクティブ・フェロー  デジタル共創オフィサー デジタル&データ本部 事務局長住友生命に入社後、生命保険事業に従事しながらオープンイノベーションの一環として週末に教育研究、プロボノ活動、執筆、講演、趣味の野菜作りを行う。2016年から...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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