AIエージェント時代のセキュリティに果たして正解はあるのか? 1年半以内に起こる“とある問題”とは
「エージェント×エージェント・人・システム」の相互作用をすべて“安全”だと言い切れる日は来るのか?
18ヵ月以内に、エージェント同士の“相互作用数”が人間同士のそれを上回る?
第三の柱であるAIセキュリティについて、ラップ氏はSecure Agent Gatewayなどの新たな機能・ソリューションを解説した。Secure Agent Gatewayは、AIエージェントが企業のシステムにアクセスする際の中継点の役割を担い、データの過度な露出を防ぐセキュリティ機能だ。
「AIが普及するにつれ、AIエージェントとシステム、人とAIエージェントといった相互作用のポイントが急激に増加しています。このすべてにセキュリティが必要です。あらゆる相互作用が確実に信頼できるものでなければいけません」(ラップ氏)
フレンド氏は未来予測を話した。「今後18ヵ月以内に、今日の人々の間に生じている相互作用の数を、エージェンティックプロセス間で生じる相互作用の数が上回るだろう」という予測だ。数十億のAIエージェントが高速で相互作用する時代が間近に迫っている。これは、Proofpointのようなセキュリティベンダーにとっては挑戦であると同時にチャンスでもある。
なお、同社もまたAIのユーザーとして、ソフトウェア配信、マーケティング、営業、カスタマーサービス、財務、HR部門でのAI活用を推進している。ソフトウェアの開発現場では約4週間前(取材時点)に新しいツールを導入したが、エンジニアの80%が、すでにその新しいツールを使用して仕事しているようだ。さらに興味深い活用例として「あるエンジニアは、AIのプロンプトを作成するためにAIを使用した」とフレンド氏。新たな創造的活用が生まれていることを明かした。
質疑応答の場面では、AIエージェントに関するセキュリティの“業界標準化”の必要性について、他国の記者から質問があった。
【質問】AIエージェントシステムのセキュリティ標準に関する、ある種のフレームワークが必要になるのではないか。
これに対しラップ氏は、「私もその考えには同意するし、実際にそうした動きは世の中で起こっている」と述べた。一方でフレンド氏は、Proofpointのスタンスについて課題も含めて以下のように述べた。
「テクノロジーは(落下するナイフのように)急速に変化しています。早急にセキュリティ標準化の動きに加わることは、この落下するナイフをキャッチしようとするようなものです。ですから我々は、AI技術そのものの安全性について固定の見方やスタンスをとるのではなく、(変化に対し柔軟に適応できるように)その周囲に安全性を配置するアプローチを現在はとっています。時間が経つにつれ、安全性が次第にソリューションそのものの一部になっていくでしょう」(フレンド氏)
この記事は参考になりましたか?
- Security Online Press連載記事一覧
-
- AIエージェント時代のセキュリティに果たして正解はあるのか? 1年半以内に起こる“とある問...
- アサヒが突かれた脆弱性、日本企業の実態……Tenableが訴えるプロアクティブなセキュリテ...
- 「能動的サイバー防御法」への提言に携わる別所直哉氏が、今後の法改善に向けた課題と議論のポイ...
- この記事の著者
-
森 英信(モリ ヒデノブ)
就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
