タニウムCTO マット・クイン氏が語った「エンドポイント拡張」とエージェント型AI「Tanium Ask」
Tanium「Converge 2025」現地レポート #02
PCやサーバーを超え、モバイル・OT・IoTまで「エンドポイント」を再定義
タニウムが発表した製品ロードマップは、「エンドポイントの拡張」「AIとオートメーション」「インテリジェントな成果」という3つの主要テーマで構成されている。メノン氏はこのロードマップの根底にある思想を「スピード、規模、安全性」と説明した。脅威が拡大する前に行動し、数や種類に関わらずすべてのエンドポイントを保護対象とし、自動化とインテリジェンスが常に信頼できるものであることを意味する。
注目すべきは、タニウムが「エンドポイント」の定義そのものを拡張している点だ。従来のラップトップやサーバーだけでなく、クラウドワークロード、OT(運用技術)機器、IoTデバイスまでを包含し、これら拡張されたエンドポイント群に対してAIによる自律的な判断と行動を可能にする。
エンドポイント拡張:「ユニバーサル管理プレーン」への進化
エンドポイント拡張戦略の核心は、「ユニバーサル管理プレーン(Universal Management Plane)」の実現だ。物理デバイス、モバイル、産業用デバイス、そして今後登場するあらゆる新しいデバイスクラスを、単一のプラットフォームで可視化・制御できるようにする構想である。
モバイル管理:iOS・Android・ChromeOSのネイティブサポート
多くのITチームがモバイルを個別ツールで管理している現状に対し、タニウムはプラットフォームにモバイル管理プロトコルの完全なサポートを導入する。メノン氏は「別々のツール、別々のポリシー、別々のワークフローが断片化を生み、コストを増加させ、すべてを遅くしている」と現状の課題を指摘した。
iOSとAndroidについては、登録、設定、パッチ適用、アプリケーション管理を、既存のWindowsやmacOSと同一コンソールで並行管理できるようになる。ChromeOSについてはChromeデバイス管理APIを通じたネイティブサポートを追加する。デバイス・ユーザー・設定状態の継続的な双方向同期が可能となり、アップデートのスケジュール設定、リモートリセット、ワイプなどをプラットフォームから直接実行できる。メノン氏は「ChromeOSをWindows、macOS、Linuxと同じリアルタイム運用モデルにおけるファーストクラスのエンドポイントにすること」が目標だと述べた。
OT・IoT対応:IT/OT統合可視化の実現
OT(運用技術)への拡張では、OT資産の発見、脆弱性データ、インベントリ、コンプライアンス管理をITと同じプラットフォーム上で提供する。「ついにIT資産とOT資産の両方をリアルタイムで一緒に見ることができる」(メノン氏)状態が実現する。統合された可視性、一貫したポリシー適用、環境全体にわたる単一の運用ワークフローが得られる。
技術的には「Tanium OT Satellite」という新しいアプローチを採用する。既存のTaniumクライアントを活用し、新しいアプライアンスやソフトウェアを必要としない。「Active Connection」と呼ばれる軽量な接続方式でOTデバイス情報を取得する。重要なのは、これらの新エンドポイントがレポート、ダッシュボード、アクションといったプラットフォームの中核機能に「後付け」ではなく完全統合される点だ。
IoTデバイスについても同様のアプローチで対応する。スマートTV、カメラ、センサーといった接続デバイスを、複雑さや運用オーバーヘッドを追加することなく、一つの場所で確認・保護・管理できるようにする。メノン氏は「ビジネスにとって重要であれば、Taniumプラットフォームで管理・保護・自動化できるべきだ」と述べ、デバイスカバレッジの体系的な拡大を宣言した。
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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)
ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...
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