オンプレからのクラウド移行をAIエージェントが実現、AIはDB移行の塩漬け問題を解決する一手となるか
レガシーシステムからの移行にともなう「技術」「運用」「コスト」の問題に、生成AIが斬りこむ
データベース移行の手法に新風が 複数ツールを組み合わせて実行
実際のデータベース移行には、スキーマ変換、データ移行、アプリケーションコードの修正など、多岐にわたる作業が必要となる。たとえば、Oracle Databaseから「Amazon Aurora PostgreSQL」に移行する場合、基本的にはAWS DMSを用いるが、最近は複数のツールを組み合わせて進めることが可能になった。そのひとつが、「AWS DMS Schema Conversion(AWS DMS SC)」を用いた移行だ。
AWS DMS SCは、移行前のデータベーススキーマとコードオブジェクトを、ターゲットデータベースとの互換性のある形式に変換するスキーマ変換サービスである。今までは単独のツールとして提供してきたが、2022年12月にAWS DMSの新機能として刷新。2024年12月には、生成AI機能を追加した。
図3:データベース移行でも活躍する生成AI
提供:アマゾンウェブサービスジャパン
なお、スキーマ変換に限らず、変換ツールを使っても100%のオブジェクト自動変換ができるわけではない。特に、Oracle Databaseで構築したシステムにおいて、複雑なビジネスロジックを含むPL/SQLで書かれたストアドプロシージャー、ファンクション、パッケージなどは、固有の機能や構文が多用されており、DMS SCを利用しても、完全な自動変換が困難な場合がある。自動変換ができなかったコードについては、生成AIを利用した自動変換で負担を軽減できるようになった。
また、アプリケーション側のSQLコードは、「Amazon Q Developer」のSQL変換機能をDMS SCと併用できる。アプリケーションソースコード内に埋め込まれたSQLコードの変換にも、Q Developerを使う形だ。たとえば、AWS DMS SCでOracle DatabaseからAurora PostgreSQLに変換したスキーマ情報をQ Developerに読み込ませ、ターゲットデータベースと互換性のあるPostgreSQLコードに変換することが可能だ。
さらに、コーディング規約や社内のカスタマイズナレッジを活用したい場合は「Amazon Bedrock」を利用できる。たとえば、「以下のOracle SQL文をPostgreSQL用に書き換えて」「この関数はどんな関数?」といった変換方法の問い合わせや疑問の解決が、チャットベースで可能になった。また、一部のSQL文だけではなく、アプリケーションコード全体をコピーしてプロンプトに貼り付け、Amazon Bedrockに読みやすくしてもらうこともできるようになった。どこをどう変えたのか、その解説を付加してもらえるため、人間はレビューに集中できる。
この記事は参考になりましたか?
- 冨永裕子の「エンタープライズIT」アナリシス連載記事一覧
-
- オンプレからのクラウド移行をAIエージェントが実現、AIはDB移行の塩漬け問題を解決する一...
- Amazonはなぜ「AWS Kiro」を標準IDEに指定したのか? AIドリブン開発の最新...
- 規制と変革のジレンマに陥った欧州、珍しい国際戦略を打ち出した中国……市川類氏が世界のAI政...
- この記事の著者
-
冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
