オンプレからのクラウド移行をAIエージェントが実現、AIはDB移行の塩漬け問題を解決する一手となるか
レガシーシステムからの移行にともなう「技術」「運用」「コスト」の問題に、生成AIが斬りこむ
オンプレミス環境のデータベース移行は難しい。技術的に難しいだけでなく、組織的、心理的、経済的な要因が複雑に絡み合っていることが、多くの企業に現状維持を選択させてきた。しかし、生成AIの登場がその状況を変えようとしている。最新手法について、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWS)の識者に聞いた。
データベース移行の最大動機は「コスト」
瀧澤与一氏(アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 執行役員パブリックセクター技術統括本部長)によれば、オンプレミス環境で運用中の企業から寄せられる「データベースモダナイゼーション」がらみの相談内容は様々だ。整理すると、以下の問題意識や悩みが浮かび上がってくるという。
最も多い悩みは、コストである。データベースのライセンス体系は非常に複雑で、システム拡張時には追加ライセンス費用が必要になる。また、毎年のサポート費用も見込んでおかなくてはならない。さらに、2023年から2024年にかけて進んだ円安の影響を受け、主要ベンダー製品の価格改定が続いており、現在のアーキテクチャを維持する前提でのコストの予測が難しくなってきた。
図1:オンプレミス環境のデータベースから移行したいと考える理由
提供:アマゾンウェブサービスジャパン
また、「ビジネス成長への追随」「高い可用性」も「コスト削減」に次いで、大きな移行の動機になっていると瀧澤氏は指摘する。ビジネス成長に合わせてスケーラビリティを確保したいスタートアップだけでなく、事業のグローバル展開を検討する段階に入ると、データベースにも柔軟なスケーラビリティが求められるようになる。
加えて、突発的な需要発生に対し、柔軟にスケーラビリティを確保したいニーズも出てくる。可用性については、システム構築時とは状況が変わる。アクティブスタンバイで切り替わるときに、数分程度の停止は許容できると判断していたが、ユーザーが増えるにつれて停止は許されなくなる。ならば、素早く復旧できるシステムにしたい。さらに、高可用性を確保するため、東京と大阪のリージョンの両方でデータベースを使えるようにしたいと考える金融機関のケースもある。
そのほか、「人材不足への対応」はデータベース単体というよりも、レガシーシステムの維持に限界を感じての課題感であろう。レガシーシステムをよく知るエンジニアを確保することは、年々難しくなっている。たとえば、企業合併でシステム統合が必要になった際に、片方のシステムがオンプレミス環境、もう片方はクラウド環境だとしたら、モダンな環境に寄せたいと考えるのは自然なことだ。
最後の「セキュリティへの対応」に関しては、運用負担を軽減したいというニーズもある。オンプレミスのデータベースでは、防御のためにセキュリティパッチを当て続けなくてはならない。ベンダーも常に最新のセキュリティパッチを提供しているが、そもそもの運用自体を見直したいと考える企業も多いことだろう。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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