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冨永裕子の「エンタープライズIT」アナリシス

オンプレからのクラウド移行をAIエージェントが実現、AIはDB移行の塩漬け問題を解決する一手となるか

レガシーシステムからの移行にともなう「技術」「運用」「コスト」の問題に、生成AIが斬りこむ

三菱電機ビルソリューションズは「AIエージェント」で移行に成功

 オンプレミス環境のOracle Databaseをクラウド環境のAmazon Aurora PostgreSQLに移行した事例として、三菱電機ビルソリューションズの取り組みがある。同社の場合、データベースのモダナイゼーションだけに焦点を当てたわけではなく、クラウド化に向けて進めてきた取り組みのひとつとして実現した成果である。

 この事例の特徴は、「人間はプロンプトでの指示のみを担当し、それ以外はAIエージェントがツールを操作し、移行を進めたこと」だと瀧澤氏は話す。図4の中央にある「Strands Agents」は、AWS が開発したPythonベースのオープンソースSDKだ。二重らせんのロゴが示すように、「モデル」と「ツール」という2つの要素を組み合わせ、精度とコードを改善する、AIエージェント構築と実装のためのフレームワークとしての役割を果たす。

 Strands Agentsでは、タスクの実行計画の作成からツールの実行までを、LLMの能力を活用する「モデル駆動型」と呼ぶ仕組みで行っている。複雑なワークフローを定義する必要がないため、他のフレームワークを利用する場合と比べ、AIエージェントの構築と実装の大幅な簡素化が可能になる。このStrands Agentsを用いて、三菱電機ビルソリューションズはデータベース移行のためのAIエージェントシステムを構築した。同社のエージェントは、Oracle DatabaseおよびPostgreSQL接続ツール、ファイル操作ツール、システム実行ツールの4つを利用する。

図4:Strands Agentsで構築したデータベース移行のためのシステム

提供:アマゾンウェブサービスジャパン

 移行前にボトルネックになっていたのが、自動変換できないオブジェクトの変換である。工数にして約200人/月が必要と見積もられていたが、図4のようなシステムを構築したことで、オブジェクト変換の自動化が進んだ。AIエージェントは、MCPサーバー経由で4つのツールを使いこなしながら、変換作業を進めた。

 さらに、システムに組み込んだテスト機能を用いて、テスト環境での基本動作確認の自動化も達成している。本番環境への適用前は人間の追加検証が必須だが、生成AIが難しいデータベース移行のハードルを下げることに貢献したと言えるだろう。

 この事例は、アプリケーション側の改修まで踏み込んだもので、リスクが高すぎると諦めていた企業に希望を与えるものと言える。「Amazon RDS for Oracle」「Oracle Database@AWS」のように、改修なしでOracle Databaseをクラウド環境に移行させる低リスクのオプションも検討候補になりうる。瀧澤氏は、「最適解は1つではない。だからこそ、お客様に様々な選択肢を提供したいと考えている」と語った。

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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